【不純物成分による燃料電池スタックの性能低下分析】
オフガス導入可能な単セル燃料電池システムの構築と運用を開始しました。

TF2で生産される水素やメタノールは、組成に変動があり、さらに一定量の不純物を含むことが想定されます。本研究では、このような市販品に⽐べて品質の低い燃料を用いる場合でも、燃料中の水素を高純度化できる前処理装置を備えた燃料電池システムの開発を最終目標としています。
前処理装置を接続する対象は、市販の1 kW 級燃料電池システムですが、実際にオフガスを導入する前に、オフガス中の各種成分がアノード触媒やその他部材に与える影響を濃度ごとに評価する必要があります。
そこでまず、ラボスケールの単セル燃料電池システムを構築し、高純度水素を用いた運転を開始しました。

セルには、標準化された形状および試験プロトコルを有するJARI(Japan Automobile Research Institute)セルを採用し、標準プロトコルに則って性能を評価しました。
本測定では、0.6 V において1 A/cm²を超える電流密度が得られ、セル性能は妥当であると判断しました。
また、燃料中に不純物であるアンモニアを1%導入して出力変動を確認する試験も開始しており、急速な出力低下が観察されました。

NH31%混合H2を燃料として使用すると、セルの出力は即座に低下します。これはプロトン電動を担う固体高分子膜へ影響した可能性があります。今後、インピーダンス測定を併用し、性能低下の原因を特定していきます。
次年度は、一酸化炭素の導入試験や、不純物ガスの限界濃度の特定を進める予定です。
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