Bio-fuel(バイオ燃料)はバイオマスを使って作られた燃料のことです。
当初は「食料としても使える」ものを原料にしていましたが(第1世代)、生産増による環境破壊や、材料の奪い合いによる食糧不足が起きる心配があるということで、現在は「食料として使わない部分」や「廃食用油」を原料にした「第2世代」へと重点が移りつつあります。
バイオマス内の糖分を発酵させて生成されます。当初はサトウキビの糖蜜や、糖化した農作物のでんぷんを原料としていましたが(第1世代)、現在はバガスやトウモロコシの芯、わらなど、主にセルロースが主成分の材料を、一旦前処理として糖化して作る第2世代へと舵が切られつつあります。ガソリンとの混合燃料としての利用や、医療・工業分野へ実用化がされているほか、燃料電池(DEFC)への利用も検討されています。
当初、アブラヤシの実からとれるパーム油など「食用の植物油」を原料にして使っていましたが(第1世代)、現在は「廃食用油」を原料にしての生産(第2世代)が中心です。ディーゼルエンジン用に調整された燃料で、全体的にセタン価が高い傾向があり、軽油に代わるカーボンニュートラルな燃料として利用できると期待されています。以下は代表的な、第2世代のバイオディーゼルです。
FAMEは、廃食用油などにメタノール(CH3OH)を反応させてエステル結合させ(エステル交換反応)、副生成物としてできるグリセリンを除去することで精製されます。生物由来物質を原料としているため、酸素(O)を構造に含みます。
セタン価が高いなどの性質が似ているため、軽油の代替燃料として使うことができると、国際的に認められています。
いろいろな脂肪酸由来物質が混ざっており、代表的なものにはカプリル酸メチル(C8)、カプリン酸メチル(C10)、ラウリン酸メチル(C12)などがあります。組成は原材料によって異なり、例えばココナッツやパーム油は中鎖脂肪酸のため、これらに由来するFAMEにはラウリン酸メチル(CH3(CH2)10COOCH3)などが多く含まれます。
HVOは、廃食用油を水素反応させた燃料です。食用油には不飽和脂肪酸(構造に二重結合を含む)が含まれていますが、高温高圧下で触媒を利用し、
という工程を経て、ほぼ単結合(アルカン)で構成されている炭化水素となります。そのためHVOは「パラフィン系の再生可能燃料」とも呼ばれます。
構造からOがなくなったことで、HVOは軽油と性質がかなり近くなり、単独での置き換えが可能になります。また一般的にFAMEよりも「セタン価が高い」「低温での性能が良い」「酸化しづらい」ということで、高性能でカーボンニュートラルな燃料と期待されています。
「ジェット燃料と同品質の、持続可能な航空燃料」という意味です。廃食用油やバイオエタノール、バイオマスを原料に、規格が厳しいジェット燃料に合わせた組成で作られています。代表的なものに、HVOと同じ方式でジェット燃料として作られるHEFA(Hydroprocessed Esters and Fatty Acids)があり、実用化が進んでいます。
両方エーテル結合をもつエーテル類に属します。エーテルは「酸素(O)を挟んで、両端に炭化水素基を持っている構造の物質」で、メチルエーテルとは「どちらかの炭化水素基にメチル基(CH3-)がある」という意味です。
合成はメタノール(CH3OH)から多くされています。構造にOがあるため完全燃焼しやすく、そのため排気ガスにすす(PM)が混じらないという利点があります。
Oの両脇にメチル基がついているという(CH3-O-CH3)、エーテルで最も単純な形の物質です。CH3OHを脱水することで作られ、吸うと軽い麻酔状態になります。常温常圧で気体ということもあり、液化天然ガス(LNG)の代替燃料として注目されています。身近にはスプレーの噴射剤としても知られ、スプレーとして使いたい成分を、缶の外に霧状に押し出す役割をしています。「スプレーを火の近くで使ってはいけない」というのは、DMEなどの噴射剤が燃えやすい成分であることが一つの理由です。
メチル基を持つエーテルですが、DMEに比べて構造はかなり複雑です。常温常圧で液体な上、セタン価が高いということもあり、ディーゼル用の燃料としての利用が注目されています。
ECU(Electronic Control Unit)とは「車載用コンピューター」の総称です。
近年各社揃って力を入れている運転支援システム(ADAS)だけでなく、車を動かす基本性能からエアバッグなどの安全装置、エアコンなどの車内の快適性に至るまで、現代の自動車はコンピューターにより自動制御されています。制御を行いたい機能それぞれにECUが搭載されており、それらがネットワークで通信しあって細かく的確な管理を行っています。
エンジンでの燃焼については、ECUが燃料噴射量や点火タイミングの制御を行うことで、運転状況ごとの当量比制御や熱効率の最適化が可能となりました。その結果として燃費性能の向上や、排気ガス成分の悪化抑制などが実現されています。
再生可能エネルギーによる発電を促進するために作られた制度で、電気会社が再生可能エネルギー由来の電気を、国が決めた価格(FIT売電単価)で一定期間買い取ることを義務付けています。この買い取りのための費用は、2014年より「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」として月々の電気料金に含まれていますので、現在「電気料金を支払っている全員が、再生可能エネルギー由来での電気を支えている」ということになります。
なお買い取り保証期間を超えることを「卒FIT状態」といい、電力会社による買い取り価格が下がる傾向があります。
HEFA(Hydroprocessed Esters and Fatty Acids)とは「水素化処理エステル・脂肪酸」のことで、バイオ燃料(Bio-fuel)の一種です。
現在、自動車だけでなくジェット飛行機でも、バイオマスや廃棄物を原料にしたカーボンニュートラルな燃料が使われるようになってきました。このような「ジェット燃料と同品質の、持続可能な航空燃料」はSAF(Sustainable Aviation Fuel)と呼ばれます。
SAFとして現在、最も利用が進んでいるのがHEFAとなります。原料は廃食用油なので入手しやすく、既存の石油精製技術や設備を活用できます。その上、既存のジェット燃料に求められているのと同等の、高い品質を維持できます。
電動化が進む自動車に対し、「大型で飛行距離が長い」というジェット機は、電動化が現実的ではありません。それだからこそHEFAは世界中で価値を認められており、さらなる普及が期待されます。
同じように、植物油を水素化処理して作ったディーゼル燃料がHVO(Hydrotreated Vegetable Oil)になります。
「超低電力・超広域」が特徴の通信ネットワークの一種です。
LoRaWANの基地局は低価格でありながら、通信距離は数キロメートルと広く、その範囲内で双方向での小規模データのやり取りができます。また情報を発信するセンサー等も超低電力で、電池交換なしで年単位での稼働が可能です。現在、スマートフォンなどの通信方法には、5Gなどの「高容量・高速」形式が多く使われていますが、それとは逆のコンセプトになります。
例えば「動画配信」などの場合は、「きれいな画質で、映像が止まることなく」ということが、視聴者のストレスがない最低限の通信条件です。その「使う人間の要望」を満たすために、ネット通信は「たくさんのデータを、速く届ける」という「高容量・高速」の技術を発展させてきました。しかし動画を見続けていると、データ容量とスマホのバッテリーの消費が早いということは、どなたも経験していることでしょう。また5Gの通信範囲は狭い、つまり遠くまで電波が届かないことが知られており、広い地域で使うとなると高価な基地局も数多く立てなければならず、費用がかさみます。
一方、IoT(Internet of Things)という「モノ同士の通信」の技術も近年、進んできています。例えばエアコンのCMで、「夏の暑い日でも、スマホでスイッチを入れておけるので、家に帰ったときには涼しく快適!」というものがありましたが、これも「モノ同士」の通信技術が発達したことにより可能になりました。
IoTの場合、通信条件としては「必要な時に、必要最低限な情報のみ」ですから、5Gのような大きな通信規格は必要ありません。こういう場面に最適なのが、LoRaWANのような「省電力長距離通信」なのです。
群馬大学理工学部でもLoRaWANによる「超省電力広域ネットワーク」の構築を試みており、太田市と連携した実証実験への取り組みが、2023年に総務省「地域デジタル基盤活用推進事業」に採択されています。
n-ブチルリチウム(n-butyllithium)と読みます。化学式はCH₃CH₂CH₂CH₂–Li。直鎖有機基(以下説明でのC)であるCH₃CH₂CH₂CH₂–(n-ブチル基)とLi(リチウム)との化合物です。
C-Li結合では、Liが正極としての極性が高いため、結果的にCがほぼカルバニオン(炭素原子が負電荷をもつ状態)となり、C側に電子密度が高まっています。このような形は「高い求核性がある」と表現されます。n-BuLiも高い求核性を持ちますが、それ以上に塩基性が強いため、まず先に強塩基として反応します。
n-BuLiは酸塩基反応としてプロトンを引き抜く力が強く、結果的に反応相手に電子対が残る(電子が多く存在する)環境を引き起こすことになり、一見還元反応が起きているように見えます。しかし還元の定義は「相手に電子を与える」という「電子自体の動き」が前提にあっての反応です。この場合はプロトンの移動はあっても、電子自体は移動していないので、定義に当てはまりません。
よってN-BuLiによる反応は「直感的には還元に見える、酸塩基反応」ということができます。
特に有機化学での合成反応で便利に使われます。但し空気や水とも激しく反応して発火する可能性もあるなど、危険な物質でもあります。
NMRとは「核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance)」のことで、この技術を利用した分析をNMR分光法といいます。電磁波を利用して、分子の中の原子の数、位置などを調べることができます。
有機化学の中でよく使われるものに1H-NMR(プロトン核磁気共鳴)と13C-NMR(カーボン核磁気共鳴)があります。例えば1H-NMRだと「水素原子」について、「分子のどこに何個あるか」「周りにどんな原子があるか」ということを、測定して出されるスペクトルより読みだすことができます。これが13C-NMRだと対象が「炭素原子」になります。有機物には必ずHとCが入っていますので、こうしてわかった情報が、炭化水素などの複雑な分子構造を知る手掛かりとなります。
なお、似た名前のものに「MRI(磁気共鳴画像法:Magnetic Resonance Imaging)」というものがあります。病院にあるドーナツ型の検査機器なので、見たことがある人も多いでしょう。こちらの原理も実はNMRと同じで、電磁波の力でHの多さ少なさを測ることで、体内状況を調べることができます。見た目が同様の検査機器にCT(コンピュータ断層撮影:Computed Tomography)がありますが、こちらはX線を利用しているという違いがあります。
MRIでの検査で「金属性の物は、検査室に持ち込まないでください」と注意を受けますが、これは測定時に強力な電磁波が発生するので、装置に金属が引き寄せられてしまうからです。NMRも同じで利用する科学者は、測定室への金属製品や磁気カードの持ち込みが制限されます。
窒素(N)と酸素(O)が結びついてできる物質の総称です。本来「NOx」とは「一酸化窒素(NO)」「二酸化窒素(NO2)」の2つだけを指します。ただし燃料燃焼による排気の分析などでは、定義には含まれない「一酸化二窒素(N2O)」「五酸化二窒素(N2O5)」も含めて「NOx」と表現する場合もあります。
人間の活動で排出量が増える傾向があり、特に近代以降は「モノを燃やす」ことで、空気中や燃料中の窒素から作られる量が多くなっています。これにより「自然環境への影響(地球温暖化や酸性雨)」「健康への影響(呼吸器系疾患など)」の問題が指摘されています。
対策としては、以下が有効となります。
温暖化対策として、特に注目しなくてはならないのは「一酸化二窒素(N2O)」です。2個の窒素原子(N)と1個の酸素原子(O)の化合物で、麻酔にも使われる「笑気ガス」としても知られます。
化石燃料やアンモニアの燃焼条件によって発生し、人間の工業生産活動の拡大による排出量も増えてきました。温室効果ガスであり、地球温暖化係数は二酸化炭素(CO2)の数百倍です。
ただ化石燃料の燃焼以上に農業活動によって発生する率が高い物質で、土の中の微生物が肥料(窒素化合物)を分解するときに産出されます。成層圏まで上ると紫外線により分解されて一酸化窒素(NO)になりますが、その際にオゾン層を破壊することも知られています。
OHラジカルは「ヒドロキシラジカル」とも呼ばれ、「酸素(O)と水素(H)が結びついているけれど、ペアになっているはずの電子が一つ足りない状態」のことを言います。構造式では「・OH」と表します。
ラジカルというのは「物質の電子が一つ足りない状態」のことで、非常に不安定で「他の物から電子をもらって安定したい!」という力が強くあります。「他の物から電子をもらう」というのは「相手の物は電子を奪われる」ということになります。つまり、ラジカルは「物質から電子を奪う⇒相手の物質を酸化させる」という力が強いということになります。
特にOHラジカルは構造に酸素(O)を含んでいるので、「活性酸素」の一種と言うことができ、有害物質の分解や殺菌などに効果があります。この機能に注目して有名企業が近年、空気清浄機にOHラジカル発生器を搭載させています。
役立つことが多いOHラジカルであり、体の中でも呼吸をすることで自然に作られますが、ストレスや病気により体内で大量に作られてしまうと、老化を早めたり、細胞を傷つけたりします。
なお、見た目がちょっと似ている「水酸化イオン(OH-)」は「電子が一つ多い状態」で、こちらは安定していてOHラジカルのような攻撃性はありません。
出てきた蒸気を回収して圧縮し、温度と圧力を上げたものを再び熱源として利用する技術です。
蒸気を全量回収することでエネルギーを大幅に節約でき、排気の臭いを周りに放出することを防げます。
電池についての専門的な説明の中で、必ず出てくる言葉が「アノード・カソード」です。電解質の中に入っている電極のことで、簡単に説明すると「電子が流れ出す極」をアノード、「電子を受け取る極」がカソードになります。
小学校高学年で初めて「電気」について学んだ時に「電気は、プラスからマイナスに流れる」と教わります。では「アノードがプラス、カソードがマイナス」なのかというと、それは違います。
中学理科で学びますが、実際は「歴史的な経緯で電流(電気の流れ)の定義はプラス→マイナスにしているけれど、実際は電子(e-)の動きはマイナス→プラスなので、流れとしては逆」だからです。では「マイナスがアノード、プラスがカソード」なのでしょうか。
実はそう言い切ることはできません。「アノード・カソード」とは元々「化学的な反応が違う極を区別する言葉」だからです。
リチウムイオン電池や燃料電池なども含めて、電池にはA・Bの二つの極がありますが、それぞれ素材がちがいます。A極で酸化反応が起きることでe-が流れ出し、B極で還元反応が起きてe-を受け取ることで「電気が流れる」となります。この「酸化反応が起きて、結果的にe-が出るA極」が「アノード」で、「還元反応によって、結果的にe-を受け取っているB極」が「カソード」なのです。リチウムイオン電池などの充電もできる二次電池の場合、「放電」「充電」で極の酸化還元反応が逆になるので、「放電でA極がアノードでも、充電の時はB極がアノード」、のようにABの役割が入れ替わることになります。
ここでややこしいのが、日本語での「正極・負極」「陽極・陰極」という言い方です。
水の流れが高いところから低いところへ流れるように、電子の流れも「e-が多く集まっている方」から「不足している方」に流れます。このe-が多く集まっている(専門用語でいうと「電位が低い」)方が「負極」、足りない(「電位が高い」)方が「正極」となります。つまり、「アノード・カソード」が「極の働き」を表しているのに対し、「正極・負極」は「極の電気的な状態」を指す言葉となります。ちなみに、この二つの極のエネルギーの差が「電圧」です。乾電池の場合、負極がマイナス、正極がプラスです。
一方「陽極・陰極」については、「陽極は酸化が起きる極(=アノード)」「陰極は還元が起きる極(=カソード)」です。しかし「陽はプラス、陰はマイナス」という国語的なイメージが日本語にはあるため、「陽極=プラス極?」と直感的に考えがちです。「陽極・陰極」は、酸化還元という極の「働き」なのか、それともプラスマイナスという極の「電位」なのかが曖昧になりがちな表現なので、どちらの意味なのか注意しながら読みとる必要があります。
まとめると、以下の通りになります。
酸化反応が起きてe-を出す極
→ 放電時にe-が流れ出す極
還元反応でe-を受ける極
→ 放電時にe-を受け取る極
電子の数が少ない
→ 電位が高い
→ プラス
電子の数が多い
→ 電位が低い
→ マイナス
1個の窒素(N)と3個の水素(H)からできている無機(炭素を含まない)化合物で、独特の強い刺激のある臭いがします。昔から肥料や火薬などの原料として使われてきました。
また生き物の体の中でも作られる物質で、人間もタンパク質を分解する途中で、肝臓の働きでアンモニアを作り、尿素にして排出します。またサメやエイは体内に高濃度でアンモニアを持っているので、肉が腐りにくいことが知られています。冷蔵技術がなかった昔でも、山地に運んで食べられていた逸話があるほか、現在でもその特性を生かした発酵食品が作られています。
空気中で燃え、しかも二酸化炭素(CO2)を出しません。化学反応式は以下の通り。
4NH3 + 3O2 → 6H2O + 2N2
エンジンや発電タービン用の燃料としての利用研究が進んでいますが、「燃料としては燃えだしづらい」という特性が開発のキーになっています。これは「最初に点火しづらい」「一旦条件がそろって燃え始めると、状態が安定している」という2つの面につながります。よって、元々ガソリンエンジン用の燃料ではないため直接比較はできませんが、「オクタン価が非常に高く、セタン価が非常に低い」傾向の燃料と捉えることができます。
対策としては、着火の効率を上げるために、NH3単体ではなく水素(H2)が補助して使われることが多くあります。H2も「燃焼してもCO2を出さない物質」ですから、カーボンニュートラルという点でも、非常に有効という訳です。
ただし、NH3はNを持っているため、燃焼条件によってはフューエルNOxとして窒素酸化物(NOx)を排出する可能性もあり、排気対策などは必要です。
更にNH3は、H2を運ぶ手段(キャリア)としても、重要な物質です。
燃えやすく、しかも爆発力が非常に大きいH2ガスを、そのまま運搬・保存することは高い技術が必要であり、更に今すぐにたくさんの設備を整えるのは難しいでしょう。しかしNH3は上でも書きましたが、昔から使われていた物質なので安全に運搬・保存する方法が既にできています。しかも、NH3はHを3個含んでおり、他の物質よりもHを多くとりだすことができるという点でも有望視されています。
強力に接着していても、何か刺激になる「きっかけ(トリガー)」を与えることで、きれいにはがせる接着剤です。
接着した物同士を傷つけることなく剝がすことができ、精密機器やモバイル製品の分解や交換もしやすくなるということで、近年は特に循環型社会を考える上で注目されています。
トリガーには「熱」「水分」「溶剤」「光」「電気」「力」「超音波」などがあり、製品を使う環境や目的などに合わせて選定されています。
なお、付箋などに使う「何回も張って剥がせるメモ」の接着剤は「再剝離粘着剤」といい、別物です。
一酸化炭素(CO)は炭素(C)1つ、酸素(O)1つの化合物です。有機物を不完全燃焼させた時に無味無臭なガスとして発生し、非常に毒性が強いことで知られています。一方、メタネーションの原料となるガスの一つでもあり、水素(H2)と反応させるとメタン(CH4)を生成できます。
CO + 3H2 → CH4 + H2O
二酸化炭素(CO2)とは違い温室効果ガスに分類はされていませんが、間接的に温暖化にかかわっている物質と認定されています。それは大気中のOHラジカルと関係があり、空気中に多くCOがあると、以下の2点で温暖化を後押しする可能性があります。
中毒などの身体への健康被害で語られることが多いCOですが、温暖化防止という点でも、排出と取り扱いの管理は今後ますます重要になります。
交流電流を用いた回路の中での「電気の流れにくさ」を指します。単位はΩ(オーム)です。
オームといえば、中学理科の「電気」の分野で習う「オームの法則」は覚えていらっしゃいますか?
V=R×I (V:電流 R:抵抗 I:電流)
授業では「電気の流れにくさ=抵抗」と習ったと思いますので、「インピーダンスとはこのRのことでは?単位もΩだし」と、まず思いつくと思います。
でも実はRを使った「オームの法則」は、直流電流を前提とした式です。私たちの身の回りの「コンセントを差し入れて電気製品に入ってくる電気」というのは、実際はほぼ交流電流になります。
交流回路では、回路の中にあるコイルやコンデンサも電流の「流れやすさ」「流れにくさ」に大きく関係してくるため、その影響も抵抗として考えなくてはなりません。その値とRとを加えた値がインピーダンス(Z)となります。
インピーダンスを用いれば、交流回路でもオームの法則が使えます。
V=Z×I (V:電圧 Z:インピーダンス I:電流)
両方「アルコール」の仲間です。理科実験の「アルコールランプ」でもご存じの通り、アルコールは燃える性質があります。
エタノール(C2H5OH)の燃焼:C2H5OH + 3O2 → 2CO2 + 3H2O
メタノール(CH3OH)の燃焼:2CH3OH + 3O2 → 2CO2 + 4H2O
という特性から、ガソリンへのドロップイン燃料としての利用が進められてきています。また、製造する元の原料をバイオマスにすることでカーボンニュートラルとなり、温暖化防止への取り組みの中でも期待されている物質です。
しかしアルコールの割合をどんどん増やせばいいというわけではありません。ガソリンと比べての特性の違いによって以下の問題が出てくるので、それを踏まえての対策が必要です。
また軽油には、メタノールやエタノールをそのままドロップインできません。水と油のように完全に分離してしまうためで、混ぜるには工夫が必要です。
更にアルコールの種類により、性格が違うところも多くあります。
酒や殺菌・消毒用スプレーなどに含まれています。古くから食品や工業材料に使われてきました。
ガソリンにエタノールを一定量混ぜた「エタノール混合ガソリン」は、既にE10(エタノールを10%混ぜたガソリン)が海外で販売・利用されているなど一般化してきています。
アルコールランプの燃料は、主にこちらになります。飲料として体の中に取り込むと失明する恐れがあるなど、人体への毒性が強いことで知られています。
また不完全燃焼を起こすと、排気ガス内に発がん性物質であるホルムアルデヒド(CH2O)が発生してしまうなど、取り扱いが難しい点があります。
鉛筆の芯の硬さを基準とした、物質表面の硬度の指標です。
「柔らかく濃い線がB」「硬く薄い線がH」と、鉛筆は表示から芯の性質を直感的に想像でき、使い分けの参考とすることができます。この鉛筆の硬度ランクを利用して、被膜やコーティングの硬度、つまり「表面の傷つきやすさ」を直感的に示したものが「鉛筆硬度」です。
その測定方法はJIS(日本産業規格)の「塗料一般試験方法/引っかき硬度(鉛筆法)」として厳格に決められています。
他に硬度の指標では「モース硬度」があります。こちらは物質自体の硬さの目安となっており、宝石など鉱物の硬さが基準となっています。
オクタン価はガソリンエンジン用、セタン価はディーゼルエンジン用、それぞれの燃料の性質を知るのに使われますが、両方とも燃料の「自己着火」に着目した指標です。
「ガソリン用のエンジンの中で、どれだけ勝手に燃えないで耐えていられるか」を表す数値です。「数値が大きいほど、耐えられる力が強い」となります。
ガソリンエンジンの燃焼は「霧状のガソリンが満ちている空間に、火花を飛ばす」という仕組みです。その火花点火のタイミングは「パワーと燃費が一番よい状態になるように」と、自動車メーカーが細やかな制御設定をおこなっています。その設定タイミングを無視して勝手にガソリンが燃えだした場合、「ノッキング」というエンジンの動きの不安定さが起こり、最悪破損の原因になります。ガソリンエンジンは「ガソリンのオクタン価」を基準に設計されていますので、それ以下の数値だとノッキングが起きやすくなる、ということになります。
「ハイオクガソリン」は「ガソリンよりオクタン価が高いガソリン」で、よりノッキングが起きづらくなります。スポーツカーなどはエンジン性能を最大限に引き出すために「ハイオク専用」としていることが多いです。
「ディーゼルエンジンの圧縮した空間の中に入れると、どれだけ早く安定して自分自身で発火するか」を表す数値です。「数値が大きいほど、自己着火する力が強い」ということになります。
ディーゼルエンジンの燃焼は「圧縮して高熱になった空間に軽油を霧状に出すと、燃料が自分で発火する」という仕組みです。ガソリンエンジンとは違い、外部からの火種が必要なく、燃料の自体の火の付きやすさがエンジン性能に直結しますので、セタン価の高い物質を選ぶことが重要になります。
燃焼や化学反応の中で、本来の目的でなく発生する排ガスのことを指します。一番身近なものは、ものを燃やした時に出る二酸化炭素(CO2)でしょう。
一酸化炭素(CO)や窒素酸化物(NOx)、二酸化硫黄(SO2)など、人体に有害なガスもあれば、水素(H2)やメタン(CH4)、アンモニア(NH3)など、回収しての再利用が期待できる物質が含まれている場合もあります。CO2による地球温暖化対策、或いはメタネーションなどの再利用見込みを含めて、そのまま大気中に排出するのでなく一旦回収・処理をすることが、今後更に求められてくると思われます。
電力会社に頼らずに、電気を自分たちで作って使っている状態です。「グリッド(grid)」とは「電気の送電網」の意味があり、そこと「繋がっていない」という「オフ(off)」が付くので、「電力会社と繋がっていない」となります。
レジャーや防災の場面で使われる、ガソリンやガスボンベを利用した発電機も含まれますが、近年は「再生可能エネルギー由来の発電」が、通常生活の中で継続的に使われるオフグリッド電力利用として注目されています。
長年私たちの利用する電力を補っている火力発電所は、エネルギー源である石炭や天然ガスなどを任意の場所に輸送できるため、巨大消費地に近い場所に建設できるという「利用者ファースト」が可能です。
しかし再生可能エネルギー由来の発電所は、効率よくエネルギーを得られる場所を選ぶ「エネルギー源ファースト」が必要なため、巨大消費地とかなり離れた場所に設置されるケースが多くあります。また「自然環境保全優先」とすると、マイクロ水力発電のような小規模施設になりやすく、既存のグリッドに繋げるのに見合った費用対効果を得るのが難しい場合も少なくありません。
しかし、「発電で得た電力を地産地消する」、あるいは「蓄電池などに貯めて使う・運ぶ」などのオフグリッドでの利用を導入することで、カーボンニュートラルなエネルギーの活用が広がります。また地域内でのエネルギー循環を意識した社会づくりにも繋がり、GXを推し進める力になると期待されています。
太陽の熱を自分で蓄え、放出する働きを持つ気体のことをいいます。
太陽からの熱は地球の大気を温めて、その熱は赤外線として、また宇宙に向かっていきます。温室効果ガスは、その赤外線を大気中で自分に蓄え、更に放出し、大気の温度を上げる働きを持ちます。
温室効果ガスがない場合、地球の表面温度は氷点下になると考えられています。広く知られているのは二酸化炭素(CO2)ですが、地球の大気に存在する割合は0.04%です。でもそのわずかな存在であるCO2のこの働きのおかげで、地球は生命が暮らしやすい、適度な温度を保っていられていることになります。
今問題になっている「地球温暖化」は、特に産業革命以降に化石燃料を大量に使うことで、人類が排出する温室効果ガスの量が急増したことにより、大気中に熱が蓄えられる量が増えたことが原因と考えられています。つまり「温室効果ガスという存在自体が悪」という訳ではなく、その存在バランスが崩れたことが問題である訳です。そのバランスをどう戻していくか、様々な方向での技術開発での解決が求められています。
固形物質を低酸素状態で部分的に熱分解、あるいは酸化や還元をすることによって、ガス化する設備のことです。発生するのはメタン(CH4)や、メタネーション用の原料となる一酸化炭素(CO)や水素(H2)などの合成ガスです。これらを資源として利用することにより、炭素を循環させるという「カーボンニュートラル」に貢献することができます。残渣としてのチャーも、燃料や土壌改良材へ利用できます。
一般的な「たくさん空気を入れて燃やして、灰にする」という焼却炉より、発生したエネルギーや資源の利用率がはるかに高いのが特徴です。また比較的低温での反応になるので、窒素酸化物(NOx)が出づらいという環境保護の点でも有益です。
主な方式に「固定床式ダウンドラフト炉」「循環流動層炉」などがあります。
炉の上部から燃料となる固形物を投入し、ガス化させながら落としていく方式です。炉の中央部分に吹き込まれた空気を利用して、発生したガスのタール分は、熱分解や酸化により除去されます。よって生成される可燃性ガスの清浄度は高くなります。
構造がシンプルで、メンテナンスの容易さやコストダウンの点での利点がありますが、水分が多いものを燃料とするには不向きです。
クロマトグラフィーとは「流体の混合物に、何の物質がどれくらいの量 含まれているか」を調べる方法です。
流体とは文字通り、「液体・気体」など「流れる」性質があるものを指します。その流体を「固定相」が入っている筒である「カラム」の中に流すと、流体内の物質によって固定相との相互作用が違うため、カラムから出てくる順番が分かれます。これがクロマトグラフィーの原理です。
図で説明すると
流体Aを、クロマトグラフのカラムに流し込みます。
流体Aに含まれる物質の種類によってカラムの中の固定相との相互作用が異なり、相互作用が強いものほど遅く、弱いものほど速く、カラムの中を進むことになります。
速く流れた物質順(緑→青→オレンジ)にカラム出口にたどり着き、検出器によって物質の種類と量を計測します。
検出器から出された電気信号を基に出力されるグラフ(クロマトグラム)では、物質の種類と含有量が読み取れます。
クロマトグラフィーには大きく分けて、液体を測定する「液体クロマトグラフィー」と、気化する液体と気体を測定する「ガスクロマトグラフィー」があります。測定する流体の特性や、分析対象となる含有化合物によって使い分けがされています。
また、検出器は検出する物質に合わせたものを選びますが、ガスクロマトグラフィーで一番使われているのは「水素炎イオン化検出器(FID)」です。多くの有機化合物を測定することができるため、燃料燃焼実験での排気ガス測定などで使われています。
化石を元に作られている燃料のこと。長い年月をかけて、動植物の死骸が地中で変化してできたと考えられています。石炭・石油・天然ガスなどがあり、燃料や化学製品の原料として、特に近代での人類の活動の中で欠かせない物質です。
成分としては、様々な炭化水素が主ですが、硫黄(S)、窒素(N)、酸素(O)も含んでおり、燃やすと以下の物質が発生します。
大気汚染・酸性雨などを引き起こし、呼吸器疾患などの健康被害を引き起こす有害物質
また化石燃料を燃焼して発生したCO2は自然に化石燃料へ再生されることはなく、また植物も化石燃料由来のCO2を余分に吸収はしてくれません。つまり「カーボンニュートラルの輪の中に入れない燃料」ということになります。
化石燃料由来のCO2削減については現在、
などの技術開発が行われていますが、排出量のすべてを補うのはまだまだ困難です。
現在地球上で使われる多くは化石燃料である上、その量は有限であると考えられています。将来へ向けた持続可能性(サステナビリティ)の点からも、これからの使用量や利用方法について、早急な検討が必要となります。
「炭素を主原料とした、燃料電池用の高性能触媒材料」で、「カーボン(carbon:炭素)」「アロイ(alloy:合金)」の意味を合わせた造語になります。
現在、燃料電池の触媒として用いられることが多いのはプラチナ(Pt)ですが、「希少で高価なレアメタル」という点が、燃料電池自体の価格が下がらない理由となっています。
カーボンアロイ触媒は特に酸素還元反応(ORR)活性が強いので、燃料電池のカソード触媒への活用が研究されています。性能を落とすことなく安価にPtの置き換えとして利用することができるので、「燃料電池普及」「Pt資源保護」の課題解決に有効と期待されています。
GXの説明に出てくる「カーボンニュートラル」とは、「二酸化炭素が【排出される量】と【吸収する量】を同じにする取り組み」のことを指します。
植物は昼間、水(H2O)と二酸化炭素(CO2)を吸収して、光のエネルギーを使ってでんぷん(養分)と酸素(O2)を作る」ということは小学生の理科の授業で、その働きが「光合成」ということは中学生で習います。化学反応式で書くと、以下の通りになります。
光合成:6CO2 + 12H2O → C6H12O6 + 6H2O + 6O2
このC6H12O6は「グルコース」という物質で、これがどのような形で集まっているかで、イモなどでおなじみの「でんぷん」になったり、植物の体をつくる材料となる「セルロース」になったりします。
植物の体をつくるグルコースは、「光合成」で吸収したCO2の「C」を基にしてできていることがわかりましたが、今度は逆に植物を燃やすと、グルコース中の「C」が空気中のOと結びついて「CO2」になり、空気に混ざります。
植物の燃焼:C6H12O6 + 6O2 → 6CO2 + 6H2O
そして、その空気中のCO2を、また植物が光合成で吸収する…という、Cの循環が繰り返されます。
このように、植物を燃料にすることは、植物と空気の間でCO2がお互いやり取りされる関係なので、理論上は「二酸化炭素が排出される量と吸収する量が同じ」、つまり「カーボンニュートラル」となります。
ただし実社会の中では、現時点で燃料として多く使われているのは、カーボンニュートラルの輪の外にある化石燃料です。原材料が植物でも、肥料製造、収穫、加工、運送などの過程でCO2が排出されており、全体としては「完全なカーボンニュートラル」は達成できていないと考えられます。
現在、温暖化防止策として提唱されている「ネットゼロ(Net Zero)」は「CO2に限らず、メタン(CH4)や一酸化二窒素(N2O)、フロンを含めた全温室効果ガスの排出自体を自己努力で大幅に減らし、ごく少量となる残りを除去する」という考え方です。CO2排出削減についても、様々な過程で使うエネルギーを再生可能由来のものにすることが、より現実的なカーボンニュートラル、そしてネットゼロ達成につながると考えた方がよいかもしれません。
炭素(カーボン)が主な成分となる微粒子。真っ黒でとても軽いのが特徴で、タイヤなどのゴム製品に補強材として添加されています。また新聞のインク、プリンターのトナーなどの「黒」はカーボンブラックによる着色です。書道で使う墨の原料になるススも、品質管理されて作られているものなのでカーボンブラックに加えられます。
電気を流す力にも優れていて、電子機器部品や、意外なところだと自動車の燃料キャップの「静電気防止剤」としても使われています。
カーボンブラックの中でも、アセチレンガスを用いて作られたものは特に「アセチレンブラック」と呼ばれます。更に純度が高く電気を通す能力が高いことを生かし、リチウムイオン電池などに使われています。
官能基とは、簡単に言うと有機物を作る、それぞれの個性がある部品の一つです。ある決まった原子があつまってグループになったもので、有機物の基となる炭素骨格にどの官能基が付くかで、性質が決まります。
子ども向けヒーロー番組では、変身装置にアイテムをいろいろ付け替えることで、ヒーロー本人が入れ替わることはなく能力だけが変化します。「ヒーロー=炭素骨格」「変身アイテム=官能基」と考えると、わかりやすいかもしれません。
実際には、例えば官能基である「ヒドロキシ基(-OH)」が炭素が直鎖の炭化水素についた場合、その物質は「水に溶けやすい」「独特のにおいがする」というような「アルコール」の性質を持ちます。メタン(CH4)の場合はメタノール(CH3OH)、エタン(C2H6)の場合はエタノール(C2H5OH)になります(化合物の名称も、語尾が「-ol」に変化します)。一方、ベンゼンなど六角形が基本の物質(=芳香環)につくと、「フェノール類」となります。ベンゼン(C6H6)の場合はフェノール(C6H5OH)となり、「中性の液体→常温固体で、水に溶かすと弱酸性」と性質が変わります。
但し、「-OH」が官能基と呼ばれるのは有機物に結合しているものだけで、無機物には適応しません。例えば水酸化ナトリウム(NaOH)にも「OH」は付いていますが、こちらはアルコールとしての性質は持たず、水に溶けることで水酸化物イオン(OH-)に変化します。
他、主要な官能基は以下の通りです。二つの有機物を繋ぎ合わせる「エーテル結合(-O-)」や「エステル結合(-COO-)」は、カーボンニュートラルに対応した燃料の生成にも大きくかかわっています。
六角形を作った炭素原子が、隙間なくハチの巣のようにつながっている、厚みが炭素原子1個分の板状の材料。この板が数多く重なっているのが、鉛筆の芯である「黒鉛(グラファイト)」です。
熱や電気を伝える力や速さに優れており、薄さから透明性と柔軟性も得られるということで、特に電気製品への活用が期待されています。
このハチの巣のような構造は「ハニカム構造」と言われ、「一定材料量を利用して、一番強度が出せる構造」であり、グラフェンの「薄く軽量だが、強度は極めて高い」という性質につながっています。
なお、グラフェンは「板状」ですが、この炭素のハニカム構造が円筒形になったのが「カーボンナノチューブ」となります。
温暖化防止やカーボンニュートラルの説明の中で、燃料名の前に「グリーン」「ブルー」「グレー」などの色名が付いていることがあります。これは、「燃料自体を作る過程での、環境への影響度」によって使い分けられていて、直感的なイメージで燃料製造の由来がわかるようになっています。
再生可能エネルギーを用いて生成されたもの。生成過程で二酸化炭素(CO2)の排出がほぼ無いため、カーボンニュートラルに高く貢献できるとされている。
化石燃料を用いて生成し、発生したCO2はそのまま大気中に排出しているもの。温室効果ガスの排出管理がされていない状態なため、環境への影響が大きい。
「グリーン(green)」は、英語で元々「環境に良い」「環境にやさしい」という意味を持っています。水素(H2)は水(H2O)を電気分解することで得られますが、水力や風力、太陽光などの再生可能エネルギー由来の電力で製造すると「グリーン水素」と呼ばれます。
CO2の排出量と吸収量を同じにするという「カーボンニュートラル」の考え方は、「CO2排出削減」を実現するためには有効です。しかし人間の活動では、「材料として植物性素材を使っただけでは、完全に『CO2の収支ゼロ』とはならない」という現実があります。素材自体の循環だけでなく、それを「採取」「製造・加工」「運搬」する過程でのCO2の発生可能性も併せて考えなければならないためです。
この過程で使うエネルギーを「再生可能エネルギー自体」あるいは「それ由来のグリーンエネルギー」にすることで初めて、完全なカーボンニュートラルの達成につながります。その場だけでなく、過程や時間経過なども含めた広い視野を持つことが、効果的な温暖化防止策を立てるのには重要なのです。
SSとは「懸濁物質(Suspended Solids)」のことで、水に溶けずに浮遊している固形物です。「高SS濃度」とは「懸濁物質の多さ」を表し、水質についての指標の一つとなっています。
家畜の糞尿由来のバイオマスは、SSである有機物が多く含まれているので「高SS濃度」です。これはスラリーと呼ばれる「水が濁ってドロドロした状態」で、他にも尿素(CO(NH2)2)、無機元素のリン(P)やマグネシウム(Mg)が含まれています。
この中の尿素などが加水分解されることで、アンモニウムイオン(NH4+)が発生します。これを「アンモニア化成」と呼びます。
尿素の加水分解:CO(NH2)2 + H2O → 2NH3 + CO2
水中におけるアンモニアのイオン化: NH3 + H2O ⇌ NH4+ + OH-
このNH4+と、SSに含まれているリン酸イオン(PO43-)、マグネシウムイオン(Mg2+)が、アルカリ性の環境にあるとストルバイト(MgNH4PO4·6H2O)が生成されることになります。
ストルバイトの生成:Mg2+ + NH4+ + PO43- + 6H2O → MgNH4PO4·6H2O
合成燃料とは「石油以外の原料から化学反応を利用して作った、石油代替燃料」のことです。主に二酸化炭素(CO2)を回収し、水素(H2)と反応させることで生成されます。このH2がグリーン水素で、製造過程も再生可能エネルギーを利用している場合は、原料・製造方法ともにカーボンニュートラルに貢献するということで、特に「E-fuel(Electro-fuel)」と表します。
生成方法としては、メタン(CH4)を生成する「メタネーション」や、さまざまな炭素数の直鎖炭化水素を生成する「フィッシャー・トロプシュ法(FT合成)」などがあります。
成分が既存の石油由来燃料に非常に近く、生成された燃料の品質やエネルギー密度を高く保つことができるため、設備などを変更することなく、そのまま使えるのが大きな利点です。例えばCH4は都市ガスなど、天然ガス利用設備にそのまま使うことが可能です。またFT合成は触媒との反応の中で「連鎖成長」「水素脱離」が起き、その調整により炭素直鎖の長さを制御できます。よってガソリン、ジェット燃料、灯油、軽油などの、様々な炭素数の代替燃料を生成できます。
長距離用トラックやジェット航空機などは、バッテリー容量と航続距離との関係を考えると、電動化が非常に難しいとされています。なので現在の機材をそのまま使えるE-fuelは、長距離移動手段燃料の切り札と期待されています。
しかし生成する過程での課題が多くあります。現時点ではCO2から変換するために多くのエネルギーを必要とし、本格的な量産体制も整っていないため、他燃料に比べると非常に高価です。E-fuelが利便性・経済性共に、現在の化石燃料と同じように使えるようになることこそ、一番無理のない脱炭素化への道です。商業化を実現するため、製造技術の革新に関する研究が日々行われています。
コーキングとは、有機化合物を高温で分解し「軽いガス」や「軽質油」「固形コークス」へ転換させる過程をいいます。もともと石油精製で用いられていた用語ですが、近年バイオマスを原料としたエネルギー転換の技術としても使われるようになりました。そのコーキングを行うのがコーカーです。
バイオマスを原料とした燃料生成をガス化CFB(循環流動層炉)内で行うと、生成されるのは「ガス」「タール」「チャー」です。ガスはメタネーションのための原料として、またチャーはCFBの燃料として再利用されます。しかしCFBは比較的低温でのガス化のため、粘度が高く設備にこびり付きやすいタールの生成量が多くなることが難点です。
そのため「ガス化CFB」と「メタネーター」の間に、高温で有機化合物を分解できる「コーカー」を挟むことで、タールも有効利用できます。コーカー内では、次の2つの反応が並行で行われています。
合成ガスはメタネーションに利用され、メタン(CH4)が合成されます。また、一部はコーキングにより固形コークスとなり、装置で利用する燃料としても利用できます。
扱いづらく設備不良の原因となりがちなタールを逆に有効利用できる仕組みは、循環型社会に大きく貢献する技術として、今後の発展が期待されます。
好熱菌とメタン菌は、一般で言われる細菌(バクテリア)とは違う、「古細菌(アーキア)」という生物の種類に分類されています。
古細菌も、大腸菌や乳酸菌に代表される細菌も、「細胞内に核を持たない単細胞生物」で、一見すると同じに見えます。しかし、実際は全く違う生物ということが近年解明されてきました。しかも古細菌の生化学的な性質は「私たち人間のような『細胞内に核を持つ真核生物』に近い」ということで、生物の進化を考える上でも重要な生物系統と捉えられています。
古細菌のすべてではありませんが、生物にとって過酷な極限環境でも生息できる種類が数多くいます。
その名の通り高温状態の環境を好み、55℃以上で生育できます。温泉やそこからの蒸気、また活火山の火口などで活動しているのが確認されています。
「酸素が嫌い(嫌気性)で、有機物からメタン(CH4)を作る」という特性を持ち、水田や湖沼の泥の中での生息が確認されています。バイオマスからCH4を取り出す「メタン発酵」には欠かせない菌です。
塩化ナトリウム(NaCl)が多いところに存在します。世界にはピンク色に染まった塩湖や塩田がありますが、これは高度好塩菌が持つ赤い色素の影響と考えられています。
他にも「酸」「アルカリ」の環境を好んだり、「高圧」「放射線下」でも生き残れる種類が確認されています。
コジェネレーション(Cogeneration:コジェネ)という言葉は、英語の「co-(共に)」+「generation(エネルギー生成)」によるもので、元々は「燃焼による排熱を回収して、装置自体のエネルギー効率を高めるシステム」のことを表していました。現在では日本語訳の「熱電併給」にある通り、「発電による排熱や運動エネルギーを二次利用してエネルギー源にする」という意味で定着しつつあります。
エンジンやボイラーなどの内燃機関を用いる発電では、燃料燃焼に伴って高温の排気ガスが生じます。高温ガスが持つ熱エネルギー自体を活用すること、あるいは排気の力を利用してタービンを駆動させるなど工夫することで、元々の発電にプラスされる形でエネルギー効率を上げることができます。これがコジェネの仕組みです。
また最近では、燃料電池の排熱を利用したコジェネのシステムも開発されており、発電熱を利用して給湯するシステムを持つ「エネファーム」は特に有名です。「燃料のエネルギーが、どれだけ電気エネルギーに変換されたか」を表す発電効率は、燃料電池は元々40~50%と高いですが、エネファームはコジェネになっていることで90%以上に向上するといわれています。
コジェネによる発電システムは、カーボンニュートラルにつながるエネルギーの有効活用策としてだけでなく、災害時の停電対策設備としても導入が推進されています。
ディーゼルエンジンは「高温高圧にした空気の中に、燃料を直接噴射(直噴)させると、燃料が自己着火する」という原理となっています。燃料はセタン価が高い物質が選ばれます。
燃料は細かい粒にすればするほど(微粒化)空気と混ざりやすくなるため、直噴時には高い圧をかけることが必要となります。
また、ディーゼルエンジン開発当時に行っていた機械式噴射では、燃料を吹くタイミングなどの制御が難しく、すすなどの排気ガスへの対策も限界がありました。
それらの問題解決のために開発されたのが、コモンレール式燃料噴射装置です。高圧ポンプで燃料を加圧し、電子制御ユニット(ECU)で燃料噴射の制御を行うことで、ディーゼルエンジンはエンジン性能の向上と環境への対策が一気に推し進められました。現在では、ディーゼルエンジンの燃料噴射制御には欠かせないシステムとなっています。
英語でコンポスト (compost)とは「堆肥」の意味で、「バイオマスを管理した状態で微生物に分解させてできた、環境に悪影響を及ぼさない肥料」のことを言います。日本では、「微生物の分解能力や、その発酵過程で発生する熱を利用して、バイオマス系廃棄物を『堆肥』に変える容器自体」を「コンポスト」と言うことが多いです。
「燃焼することなく、生物由来の物質を肥料として自然に返す」ということで、環境問題やリサイクルの意識が高まるとともに名前が広まりました。専用容器が普及してきていますが、空気・湿度・温度などの環境調整や、入れるバイオマス系廃棄物の水分量や種類の注意は必要です。昔からある「落ち葉をビニール袋に入れて密閉させ、腐葉土を作る」ということも、立派なコンポストです。
エンジンの性能として強く求められる要素の一つに「安定性」があります。例えば自動車でも、「いつ止まるかわからない」だけでなく「スピードやパワーの出方に波がある」のでは、安心して乗っていられません。エンジンの安定運転のためには、「燃料が、複数のシリンダー内で安定して燃えているか」を知る必要があります。
シリンダー内では、燃料は毎回同様に燃えているわけではありません。
などの要因により、燃焼サイクルごと、あるいはシリンダーごとで燃焼のばらつきが起きます。ばらつくことはエンジン運転の不安定さにつながり、最悪失火と呼ばれる「着火できない状況」が発生します。
そのばらつきを評価する指標がCOVとなります。
「GX」「地球温暖化防止」「カーボンニュートラル」「資源保護」などの検討は、いまや「再生可能エネルギー」を抜きにはできません。「半永久的なだけでなく、環境への負荷が少ない」、特に「二酸化炭素(CO2)の排出が少ないクリーンなエネルギー」としての役割が大きいからです。
この定義については、2009年に成立(2023年名称改正)した「エネルギー供給構造高度化法(エネルギー供給事業者によるエネルギー源の環境適合利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律)」で、エネルギー源を「太陽光、風力その他非化石エネルギー源のうち、エネルギー源として永続的に利用することができると認められるものとして政令で定めるもの」としています(「なっとく!再生可能エネルギー」|資源エネルギー庁) 。
具体的なエネルギー源としては、政令では「太陽光」「風力」「水力」「地熱」「太陽熱」「大気中の熱その他の自然界に存する熱」「バイオマス」が定められています。「大気中の熱その他の自然界に存する熱」を利用しているものにはヒートポンプが挙げられます。また潮力などの「海洋エネルギー」や、豪雪地帯での「貯蔵雪氷による冷熱」も、研究段階ですが有望視されています。
但し課題もまだ多くあります。例えば再生可能エネルギーを利用しての発電だと、
などが挙げられます。その解決には、「電気を作る」と、その先の「作った電気を安定して溜めて運ぶ」の「両輪を揃えること」が不可欠となります。
本プロジェクトは群馬県が進める「ぐんま5つのゼロ宣言」実現のため、群馬県企業局による「再生可能エネルギー・脱炭素化研究開発等助成金事業」として進められています。「5つのゼロ宣言」の基となる「2050年に向けた「ぐんま5つのゼロ宣言」実現条例」には「再生可能エネルギーの導入促進」についても明記されています(「2050年に向けた「ぐんま5つのゼロ宣言」実現条例を制定しました」 |群馬県 知事戦略部 グリーンイノベーション推進課)。
県内の再生可能エネルギーを活かし、それをまた県内でどのように有効利用していくか。群馬大学では、両輪を考えての仕組みづくりと技術開発を進めてまいります。
中学生の時に習う「酸化・還元反応」ですが、おそらく簡単には「物質に酸素(O)が結びつくと酸化、離れると還元」という内容だったのではないでしょうか。
実験では、「マグネシウム(Mg)リボンを燃焼させる」というものが、かなり激しく光を出して燃えるので印象深かったのではないでしょうか。化学式は、燃焼とは「物質とOが化学的に結びつく」ということですので、以下になります。
マグネシウムの燃焼:2Mg + O2 → 2MgO
また銅(Cu)も、加熱すると酸素と結びついて酸化銅(CuO)という黒ずんだ金属になりますが(酸化)、そのCuOに炭素(C)を入れて再度加熱するとOが離れ、元の光沢金属色のCuに戻ります(還元)。この場合、炭素からの視点なら「炭素が酸化されて二酸化炭素(CO2)になった」とも言えます。
銅の酸化:2Cu + O2 → 2CuO 酸化銅の還元(炭素の酸化):2CuO + C → 2Cu + CO2
このように、「O」のやり取りだけに注目しているのが中学学習内容ですが、高校以降の化学で学ぶ以下のような「電子のやり取り」が、化学での酸化還元反応の根本的な定義になります。
酸素(O2)はさまざまな科学現象に関係しているだけでなく、私たちにとって非常に身近な物質です。
中学理科で学ぶ単元でも「燃焼」「光合成」「水の電気分解」「酸化・還元」などにO2は登場します。GXについての考え方、また本プロジェクトを支える実験内容は、実はこれらの単元を基礎にしたものがとても多くあります。
6CO2 + 6H2O → C6H12O6 + 6O2
植物が二酸化炭素と水と太陽光のエネルギーを得て、グルコースを作り、酸素を排出します。カーボンニュートラルを考える上で、非常に重要な化学反応です。
このおおむね逆反応が、生物がエネルギーを取り出している「呼吸」です。
このように、今後の地球の環境を考えていく上で、O2の動きと働きはとても重要と考えることができます。
燃料として多く使われるものとして、メタン(CH4)やプロパン(C3H8)などの炭化水素(HC)があります。ガソリンや軽油なども、様々なHCが含まれている化合物です。HCは炭素(C)と水素(H)だけで組成されていて、燃焼させると水(H2O)と二酸化炭素(CO2)が発生します。
一方、CとHの他にOを含んでいる燃料もたくさんあります。エタノール(C2H5OH)やメタノール(CH3OH)などのアルコール類や、ジメチルエーテル(CH3-O-CH3)などのエーテル類、またバイオディーゼルであるFAMEなどは、構造の中にOを含んでいます。HCと同様に燃焼するとH2OとCO2が発生しますが、自身にOを含む燃料は、以下のメリットとデメリットがあります。
【メリット】
【デメリット】
組成内にOを含む燃料についてはオフガスについて注目されることが多く、HCと比べて「PMが減るが、NOxは増える」という傾向が見られるのが特徴です。これはしばしば「PMとNOxのトレードオフ」と表現されます。このように一長一短があるわけですが、それぞれの燃料の特性を活かした利用が、これからのGXを推進させるポイントと考えられています。
「次世代の移動手段」のことを言います。
「モビリティ(Mobility)」には「移動のしやすさ」という意味がありますので、詳細に言うと「現在よりも更に優れている、新しい技術の移動方法」ということになります。例えば自動運転やドローン、「パーソナルモビリティ」と呼ばれる1~2人乗りの超小型電気自動車などがそれにあたり、日々開発・実用化がされています。
群馬大学でも「次世代モビリティ社会実装研究センター(CRANTS) 」にて、主に「自動運転」「スローモビリティ」について研究開発が行われています。
なお「スローモビリティ」とは、「時速20km未満で公道を走ることができる電動車、およびそれを使ったサービス」のことを指します。経済成長の中で、今まで求められてきたのは「速く、多数を運ぶ移動手段」でした。しかし地域コミュニティ内での移動では、それを極めることが一番ではなく、住人や環境に合わせた「ゆっくりと、少人数で」という移動手段も必要と見直されてきています。既存手段より省エネルギーであるスローモビリティは、更に太陽光や水力発電などによるグリーンエネルギーを利用することで、温暖化防止にも大きく貢献できます。
群馬大学理工学部がある桐生市では実際に、開発に参加した「MAYU 」が市街地で活躍しています。
自分の形を変えず、周りの化学反応を進めるのを助ける役割をする物質を「触媒」といいます。
「二酸化マンガン(MnO2)にオキシドール(うすい過酸化水素水:H2O2)を加えると、酸素(O2)が発生する」という理科の実験は、記憶にあると思います。
この場合の化学反応式は
2H2O2 → 2H2O + O2
となります。
「あれ? MnO2は化学反応に関係していないの?」となりますよね。
実はH2O2は不安定な物質で、「Oを離して、安定しているH2O(水)という形になりたい!」と、ゆっくりながら自分で自身を分解しようとしているのです。理科の実験の時は、Oを離す速さを手伝う物質として「MnO2」を入れています。このMnO2の役割が「触媒」となります。
MnO2、つまり触媒を使わなくても「自然に放置する」「加熱する」でO2は発生しますが、時間も熱エネルギーも多く必要となり、更に速さを制御することは難しくなります。
ものを大量生産する工業の分野だけでなく、自動車の排ガス規制や燃料電池の仕組みなどの身近なところでも、私たちの生活は触媒に支えられています。理由として
現在実用化されている代表的な物質としては
三元触媒
アンモニア合成(ハーバー・ボッシュ法) / フィッシャー・トロプシュ合成(FT合成)
フィッシャー・トロプシュ合成(FT合成)
Ptなどのレアメタルは高価なため、炭素(C)を利用したカーボンアロイ触媒など、安価な触媒の開発も近年進んでいます。
なお、体の中でも触媒は働いています。「酵素」と呼ばれ、食品の発酵や医薬品の分野でも活用しています。
触媒は物質の合成や除去の場面で、化学反応を効率的に進めるという重要な役割を持っています。しかし「触媒毒」といわれる物質が触媒表面を覆ってしまうと機能が低下し、働けなくなります。これを「触媒被毒」といいます。
燃料電池の場合、触媒毒は燃料である水素(H2)に含まれている一酸化炭素(CO)などの不純物が考えられます。また直接メタノール形燃料電池(DMFC)では、燃料のメタノール(CH3OH)に微量含まれるギ酸メチルやジイソプロピールエーテルも触媒毒となります。
これらの触媒毒が触媒へ影響する過程は、それぞれ違います
プラチナ(Pt)触媒に直接化学結合してしまうことにより、Ptの触媒としての機能を大きく奪います。
ギ酸メチル自体がPt触媒で酸化される過程で、CH3OH酸化と競合となり、性能を大きく下げることがあります。
物理的にPt触媒の表面を覆うことで、CH3OHの酸化を阻害します。
このように触媒毒の種類を見極める必要があり、それぞれの被毒に耐える触媒の研究が行われています。

水素原子(H)が二つ組み合わさってできている水素(H2)は、空気よりとても軽く、また非常に燃焼・爆発しやすいという性質があります。また下の化学反応式通り、燃やしても二酸化炭素(CO2)を発生させませんので、温暖化防止策を考えるには重要な物質です。
2H2 + O2 → 2H2O
2021年に開催された「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」では、史上初で聖火台の燃料としてH2が採用され、また車両や施設で燃料電池が多く活躍しました。しかも、ここで使われたH2は水(H2O)を再生可能エネルギーで電気分解した、製造時にもCO2を出さない「グリーン水素」とのことで、環境や持続可能性を考慮した「新しい五輪」を印象付けたものとなりました。
但し、H2を実際に生活の中に取り込むには、「安全性」「専用設備の新規設置」などが課題です。「爆発しやすく、しかもその威力が大きいH2を、どのように運び保存するか」「今までに使っていた機械や設備を、どのようにH2を利用できる形に変えていくか」を検討する必要があります。
なお、以前は浮かぶ風船の中に水素ガスを使っていましたが、危険ということで日本では禁止され、現在では安全なヘリウムガス(He)が使われています。
河川・湖・地下水などの公共の水を、農業・工業・発電・家庭などで使うための権利です。「河川法」に基づいて決められていて、権利を取るには国や自治体の許可が必要です。
水は生き物の生命活動に必須なものですが、農業が始まったことにより、更にその権利を社会ではっきりとさせようという動きがみられるようになりました。例えば、川の上流で水をたくさん使ってしまえば、下流の水量は減り、田畑への水不足が起きます。特に降水量が少ないとそれが顕著になり、下流のみ飢きんが起きるという恐れがあることから、古代より「上流下流で平等に水を得られるように」という取り決めがされていたと思われます。世界的にもこのような「水の権利」は、何時でもどこでも作られていることが知られています。
河川法の対象になるのは「一級河川(国が管理)」「二級河川(都道府県が管理)」「準用河川(市町村などが管理)」となります。対象とならない「普通河川」には山の沢など、自然な小規模水流(ただし河川法で指定されていない)があります。
スクラバーは「排ガスを浄化する装置」のことです。工業活動などで排出されるガス(オフガス)から有毒物質を除去し、環境に適合する状態にします。
湿式(洗浄式)と乾式(吸着式など)があり、対象物質や使用環境、コストなどの条件で使い分けられます。
リン酸マグネシウムアンモニウム(MAP)の水和物(MgNH4PO4・6H2O)で、石のような塊です。
下水の処理を行うときに、水質がアルカリ性だと、含まれている
が沈殿して結晶化してしまいます。それがストルバイトで、配管などを詰まらせる原因になります。
Mg2+ + NH4+ + PO43- + 6H2O → MgNH4PO4・6H2O
また、ニューベリーアイト(リン酸マグネシウムの水和物:MgHPO4·3H2O)も、アルカリ条件下でNH4+と反応することでストルバイトへ変化することがあります。
MgHPO4・3H2O + NH4+ + OH- → MgNH4PO4・6H2O + H2O
しかし、ストルバイトに含まれるリン(P)や窒素(N)、Mgは、肥料として有効活用できる物質でもあるため、再利用するための研究が近年進められています。
なお、発症すると非常に痛い「尿路結石」の石がストルバイトの場合もあるため、医療分野でも知られています。
石油も天然ガスも化石燃料の一種です。主な成分は共に炭化水素で、気体として得られるのが天然ガス、液体(油)が石油と呼ばれます。石油は精製することで「ナフサ」「ケロシン」「軽油」「重油」へ、さらに使われる用途に合わせて調整された燃料・原料として分けられます。
メタン(CH4)を主成分として、エタン(C2H6)・プロパン(C3H8)など炭素数2~5の炭化水素を多く含む混合気体。冷却して液体にしたものは「液化天然ガス(LNG:Liquefied Natural Gas)」と呼ばれます。燃焼しても二酸化炭素(CO2)や窒素酸化物(NOx)の排出が比較的少なく、クリーンな燃料として火力発電や都市ガスに多く使われています。
「ナフサ」から精製される、炭素数5~10の炭化水素の混合物。日本では、油やしみを落とすための洗浄剤や、プラチナ(Pt・白金)触媒による燃焼方法を用いたカイロの燃料として使われています。なお、六角形のベンゼンとは別物質です。
「ナフサ」から炭素数5~12のものを精製し、オクタン価を調整した炭化水素混合物。常温での揮発性が高く、主にガソリンエンジンなど内燃機関用燃料として使われています。
「ケロシン」から精製される、炭素数9~15の炭化水素の混合物。他の石油由来燃料より取り扱いが比較的容易なので、家庭用暖房器具に多く使われています。
「ケロシン」から精製され、航空用のジェットエンジン利用に合わせて調整された炭化水素混合物。灯油とほぼ同じ成分であるものの、規格は更に厳しくなっています。
原油から精製される、炭素数10~20の炭化水素の混合物。主にディーゼルエンジン用の燃料として使われています。日本では、ガソリンより税金が安いという利点もあります。
ナフサや軽油などの石油製品を精製した後に残る、重質の炭化水素混合物をいいます。燃料としては船舶のエンジンやボイラーに用いられます。重油よりさらに重い残渣がアスファルトの原料となります。
植物の体を作っている物質です。
その存在比は樹木の場合、40~50%が「セルロース」、20~25%が「ヘミセルロース」、20~35%が「リグニン」と言われています。
植物の細胞壁の材料で、地球上で最も多く存在する炭水化物です。基本的にグルコース(C6H12O6)だけが繰り返しでつながっている単純な構造なため、化学的にも安定しています。
古くから紙、綿などの原料として加工され、人間の生活に活用されてきました。また、人間が食べる食物繊維の多くはセルロースで、水に溶けにくいことから、摂取することで整腸作用に貢献しています。
植物の細胞壁の間に入り、しなやかさを保つ役割をしています。グルコース以外の様々な糖も入っているため構造は複雑で、パターンが整っているセルロースと比べて、加工利用がしづらい点もあります。
近年、カーボンニュートラルを目指すことによるバイオマス未利用資源の活用と、それを後押しする技術が発展したことにより、改めて資源としての価値が見直されている物質です。
中に液体がなく、固体の物質のみで電子のやり取りができる電池のことです。
「レモンに金属板を刺して電池が作れる」という実験を見たことがありますか? レモンを半分に切って、銅(Cu)と亜鉛(Zn)の板を一枚ずつ刺し、その間に電気コードと電球をつなぐと、電球が光るものです。
この原理ですが、レモンの果汁の中でZnが溶けて亜鉛イオン(Zn2+)と電子(e-)に分かれ、e-が電気コードを伝わってCuの方に移動します。このe-の動きが「電流」となり、電球が光るわけです。
このレモン電池に大事なのは「Znを溶かすレモン果汁」、つまり「電解質の存在」です。今まで発明された多くの電池の仕組みは、まず「電解質が液体である」ことが大事でした。レモン電池も、乾燥したレモンピールで試しても成功しません。
しかし近年、電解質部分も固形にした「全固体電池」が求められ、開発されています。理由としては「電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)のバッテリー安全性・性能向上」が大きく挙げられます。
層流とは「流体が乱れずに、きれいな層で流れている状態」、拡散火炎とは「燃料と空気が別々に入り、炎の中で混ざりながら燃焼が進む状態」のことを指します。
ろうそくの炎のような細長くなめらかで安定した形になり、燃料と空気がゆっくりと混ざるために、あまり速く燃え進みません。燃焼について調べる基礎実験でよく使われます。
なお、層流の逆は「乱流(流れが乱れている)」、拡散の逆は「予混合(あらかじめ混ぜてある)」となります。
燃焼速度とは「燃料と空気を混合させた可燃性ガスに着火したときに、その中を炎が広がる速さ」のことを指します。
エンジンに一番効率よく仕事をさせるには、シリンダー内で「ピストンを素早く、移動距離を大きく」動かす必要があります。理論上は、ピストンがシリンダー内の空間を一番小さくさせている瞬間(上死点)の手前で混合気に点火し、上死点で混合気の燃焼による空気膨張が起きるのが理想となります。速い燃焼によって速い空気の膨張が起き、ピストンへ効率よく圧力を与えることができるためです。
特にポート噴射式のガソリンエンジンの場合、ポート内で空気と燃料を予め混ぜておくため(予混合)、「炎の広がり方」つまり「混合気の燃焼速度」は、最適な燃焼条件を決める一要因として重要となります。
ここでデータ値としてつかわれるのが層流燃焼速度です。層流燃焼とは「乱流などが起きていない条件の燃焼」を指します。実際のエンジン内燃焼は乱流ですが、乱流燃焼は層流燃焼速度を基礎データとした統計モデルを作ることが一般的になっています。
高圧ガス保安法では製造者を、本格的なプラントで高圧ガスを製造する「第1種製造業者」と、小規模設備などで製造する「第2種製造業者」に区分しています。
取り扱う高圧ガスの量や設備が大きく、事故時の影響が大きい第1種製造業者は、事業所や製造施設ごとに都道府県知事(場合により経済産業大臣)の許可が必要となり、厳しい管理がされています。
一方、小規模設備を使用する業者は、第2種製造業者に区分されます。手続きも第1種と比べて簡略化され、許可ではなく届出での運用が可能となります。
有機物をガス化炉で低酸素熱分解すると、「ガス」「タール」「チャー」に分かれます。
黒くねばねばした物質です。古くから道路の舗装材や、「防水」「防虫」の効果があるということで、船や家などを作る素材として使われてきました。また古代エジプトでは、ミイラの防腐処理に使われています。バイオマスを原料としたものは「バイオマスタール」と言われ、その中でも木質を原料としたものが「木タール」です。ガス化CFBでの生成物としては配管にこびり付くということで扱いが難しいとされてきましたが、水蒸気や熱を利用して分解することにより合成ガスや液体燃料へ変換するという技術が開発されており、こちらはカーボンニュートラルに有効と注目されています。
なお「黒くてねばねばしていて、道路の舗装」というと思い浮かぶのは「アスファルト」ですが、こちらは「原油を精製した残り」で、タールとは全く別の物質です。また、たばこのパッケージに「タール」とありますが、これは「たばこに含まれる化学物質」のことで、肺に黒くねばねばとこびり付くことから関連付けられたと思われます。
黒く残った、炭素(C)の含有量が非常に多い固体です。有機物原料が石炭なら「コークス」、木なら「木炭」と呼ばれ活用されています。木炭をはじめとするバイオマス由来のチャーは、燃料として転換してもカーボンニュートラルであると考えられており、また土壌改良材や吸着剤としても利用されています。
炭素原子(C)と水素原子(H)による化合物。構造で一番単純なものはCが一つのメタン(CH4)で、炭素数が増えていく毎に構造の種類も増えていくことが特徴です。例えば、Cが1つの炭化水素はCH4だけですが、もう一つ増えて「Cが2個」となると、「二重結合」「三重結合」を含む構造が作れるようになります。
さらにこの後、Cの数が増えていく毎に作れる構造は多様性を持ちます。「Cが16個の炭化水素」にもなると、例えば二重結合(=)や三重結合(≡)を持たない「ヘキサデカン(C16H34)」だけでも、10,000個以上の形が違う種類(異性体)が存在します。
また、炭化水素の状態は大まかにいうとCの数で変わり、目安としては常温常圧だと、Cの数が1~4くらいまでは気体、5~17くらいまでは液体、それ以上は固体となります。化石燃料である石油や天然ガスは、いろいろな種類の炭化水素が混ぜ合わさったものですが、このそれぞれの特性を利用して精製することで、様々な性質の燃料を取り出すことができます。
なお有機化学の世界では、一見して構造がわかる命名法が決められています。頭のギリシャ語は「同じ元素が複数ある時の数」を、語尾が「-ane」は単結合のみ、二重結合があれば「-ene」、三重結合があれば「-yne」と変わることで表す、というようにです。
例えばノネン(C9H18:揮発性があり燃えやすく、界面活性剤の原料としても用いられる)の場合、「nona + -ene」なので「二重結合を1つ持つ、炭素が9個ある炭化水素」と読み取ることができます。また前に付いている数字で二重結合の位置がわかるので、「1-ノネン」なら「二重結合の位置が1番目(一番端)にある」と読み取れます。
ギリシャ語は以下の通りですが、数字で使われるのは5(ペンタ)以降です。炭素数1から4の化合物は古くから使われていたため、命名のルールが決められる以前からつけられていた名前をそのまま使っています。
チャンバー(Chamber)とは、もともと英語で「区切られた部屋」を意味します。用語としては「特定の役割を持つ空間」という意味合いが強く、医学では「心臓の4つの部屋」、音楽では「チャンバーオーケストラ(室内合奏団)」のように使われています。
工業分野では、特定の温度や湿度、圧力などが制御された空間をチャンバーと呼びます。またエンジン分野では、2ストロークエンジンにつけられる排気膨張室を指す言葉として、日本では広く使われています。
乾燥チャンバーは、特定の温度や湿度を保ちつつ、物質を乾燥させる空間のことです。外気の影響を受けにくい低湿度環境の中で、物質の含水率を低く保つ働きがあります。
「脂肪酸」とは炭素(C)、水素(H)、酸素(O)からできていて、名前の通り体についている「脂肪」に大きくかかわっている物質です。
脂肪酸の種類は長さで分けることができるのですが、一般に食べられている油脂(オリーブオイルやラードなど)は「長鎖脂肪酸」、その半分ほどの長さのものは「中鎖脂肪酸」と呼ばれます。
中鎖脂肪酸にはカプリル酸(C8)、カプリン酸(C10)、ラウリン酸(C12)などがあり、ココナッツなどのヤシ科植物や牛乳、母乳にも含まれています。この中鎖脂肪酸100%で作られているのがMCTオイル(MCT:Medium Chain Triglyceride)で、近年食卓でもおなじみになっています。
炭素の数が8~12でできている中鎖脂肪酸は吸収された後分解されやすいとされ、生活習慣病の改善効果について研究されています。
また、これら中鎖脂肪酸とメタノールを反応させて(エステル化)できた化合物である「メチルエステル」は化粧品の成分として知られ、また近年ではBio-DieselであるFAMEとしての活用が注目されています。
動粘度とは、流体の「流れにくさ(運動のしにくさ)」を、密度を考慮して表したものです。式で表すと以下の通りとなり、「動粘度が高い=液体が動きにくい」という意味になります。
動粘度 ν(m²/s) = 粘度 η ÷ 密度 ρ
では、「動粘度」という指標を作ることで、何がわかるのでしょうか。そもそも「動」は、何の意味があるのでしょうか。
例えば、おもちゃとしてよく遊ぶ「スライム」で考えてみましょう。
水色やピンクなどのポップな色彩が多いスライムですが、鉄粉を混ぜ込んで「黒いスライム」を作ることもできます。これは「磁石を飲み込む」「磁石に引っ張られて角が立つ」などの面白い動きをするため、理科単元の「磁石」の教材などでも取り上げられることがあります。
「ピンクスライム」と、それに鉄粉を混ぜた「黒スライム」を同じ体積で用意します。これをテーブルの上で転がすと板に張り付きながら動いていきますが、黒の方が動きづらいという結果になります。
スライムは板に張りつく、つまり「抵抗」が大きい状態で動きますが、その動きやすさには「スライム自体のネバネバによる影響」と「スライムの重さによる動きにくさ」の両方が関係しています。この例の場合、同じ材料を使って作っているので二つのネバネバ具合、つまり「粘度」は同じです。しかし黒は鉄粉を含んでいることで密度(=質量÷体積)が大きく、それによりピンクと比べて動きづらいと考えられます。
このような「流体の動きやすさ」の指標として、粘度を密度で割った「動粘度」が考えられました。動粘度の値を用いることで、質量の違いも含めた、流体の運動のしやすさを比較することができます。動粘度の「動」は、「流体の運動のしやすさ」に注目した量であることを意味しています。
どの形のエンジンでもですが、燃焼効率や環境性能を上げるためには「どれだけ燃料を微粒化して、燃焼室へ噴霧できるか」が重要になります。動粘度が低い方が、液滴を細かくするという微粒化には有利なので、表面張力とともに、燃料物性値としては重要視される要素となります。
当量比とは「空気に対して、燃焼する燃料の割合が多いのか、少ないのか」を表す数値です。燃料の種類に関係なく表現され、値を見ることで燃焼の状態を直感的に理解することができます。
基準となるのは「燃料が完全燃焼するときの、燃料と空気の割合」で、「理論空燃比(ストイキオメトリ)」と呼ばれます。ただし実際のエンジンでの燃焼では、
のどちらかの状況を、運転条件によって使い分けることが多くあります。
肥料は「植物に養分を与えるもの」であるのに対し、土壌改良材は「農産物をよく育てるために、土自体を変化させるもの」です。
よい作物を育てるには、「物理性」「化学性」「生物性」のそれぞれで、土の環境を整える必要があります。
物理性
土を柔らかくして空気を通りやすくし、水はけのよさを保つ
化学性
土自体のpHの調整をして、含まれるミネラルが逃げるのを防ぐ
生物性
植物が育つのを助ける微生物を増やし、逆に病気などの基になる有害なものを減らすなど、土の中の微生物バランスを保たせる
土壌改良材はこれらを向上させることを目的として使われます。
特に、バイオマスを原料として微生物により醗酵させた堆肥は、土壌改良材としてこの3点をバランス良く向上させる力があります。またバークや落ち葉など植物性だけの物だけでなく、鶏糞などの動物性の物を混ぜることで、肥料としての力をより強く持たせることもできます。
「今まで使っているガソリンや軽油などの燃料に混ぜても、設備や部品を特別に改造することなく使える燃料」のことを言います。
自動車や飛行機、発電所など、世の中には様々な「燃料を燃やしてエネルギーを得る」という「内燃機関」がありますが、使う燃料の種類によって、構造はそれぞれ異なります。例えば自動車は「ガソリン車」は「ガソリン」、「ディーゼル車」は「軽油」を燃料として使いますが、それぞれ燃料の燃える性格を生かした構造となっており、特に点火の方法が異なります。
では、「軽油の方が安いから、ガソリン車に入れちゃえ!」「軽自動車には軽油のはず」と給油してしまったらどうなるでしょうか? この場合まったくエンジンがかからないどころか、エンジン本体が壊れる可能性があります。逆の「ディーゼル車にガソリン」の場合、更に深刻な状態になります。ガソリンスタンドで同じように販売されていても、「ガソリン」「軽油」は「蒸発しやすさ」「燃えやすさ」などが大きく離れた別の液体です。通常はエンジンや設備の燃焼方法に合っていない、設計・開発者の想定と異なる燃料を入れてはいけないのです。
しかし近年、持続可能な社会を考える上で「従来の燃料に混ぜても、内燃機関や設備を交換せずそのまま使える」というドロップイン燃料が注目されています。なるべく元の燃料の性格に近い物質を代わりに、或いは混合して使うというもので、ガソリンへのエタノール混合や、飛行機用燃料への実用化が既にされています。E-fuelの合成ガソリンや、Bio-fuelのBio-Diesel・バイオエタノールなどを用いることで、カーボンニュートラルによる温暖化防止にもつながる取り組みです。
ただし、性格は似ているとはいえ、完全に同じ物質でないことが開発の壁にもなります。その一つの例えで「ガソリンとエタノールの蒸発特性の違い」を挙げてみます。
最近「エタノール(C2H5OH)混合ガソリン」が一般的に使われるようになってきています。C2H5OHはガソリンに分離せずに混ざりやすく、運転を安定させるメリットがあり、またバイオマス由来のものにすれば、カーボンニュートラルに近づくことになります。
C2H5OHは消毒でお馴染みですが、皮膚につけると直ぐに蒸発してヒンヤリします。これはC2H5OHの「周りの熱を奪って蒸発しやすい」という性格(専門用語でいうと「気化熱が大きい」)によるものです。物理的な値からも、熱の奪いやすさは「エタノール > ガソリン」というデータがあります。
一方ガソリンは、セルフスタンドで車の給油をしたことがある人はわかりますが、給油口の蓋を外すと気体になったガソリンが「シューッ」と音がして抜けるのがわかると思います。蒸発しやすいとはいえ、通常の生活でC2H5OHの瓶を開けただけでは蒸発した気体が音を立てて漏れることはありませんので、感覚的にも常温での蒸発しやすさ(専門用語でいうと「揮発性の高さ」)は「ガソリン > エタノール」ということがわかります。
ガソリン車のエンジンは、そのガソリンの「蒸発のしやすさ」を活かした作りになっています。ここで「蒸発しやすさはガソリンより弱く、また周りの熱はガソリンより奪いやすい」というエタノールを多く入れすぎるとエンジン内を冷やし、更に最初に点火するとき(冷始動時)の性能が落ちる可能性が高まります。
他に課題もありますが、逆に言うと、このような問題点を解決することがドロップイン燃料の可能性を広げます。安全に効率よく使える物質の選定や混合割合などの研究が、燃料と内燃機関両方で進んでいます。
「分析対象試料の中に標準となる物質を入れて同時に測定し、その両方のデータを比較して、調べたい物質の濃度を計算する」という方法です。
例えばクロマトグラフィーでの分析では、分析対象物質の濃度は「クロマトグラムの頂点高さや面積」より計算されます。この計算をするためには、まず濃度が正確にわかっている「標準」を使ってお手本クロマトグラムをつくり、分析対象物質の測定結果と比較しての計算をする必要があります。
ここで、この標準を分析対象の試料の中に混ぜて一緒に測定するのが「内部標準法」です。併せて測定することで、データの誤差が少なくなる利点があります。但し標準に選ぶ物質は、「分析対象物質に近い性質の上、試料内に含まれていない」など、選ぶのに注意が必要です。
ちなみに「外部標準法」もあり、これは「分析対象と標準を別々に測定し、両方の結果を比較する」という方法で、内部標準法より手間はかかりませんが、誤差が大きくなる可能性があります。
1個の炭素(C)と2個の酸素(O)による化合物です。炭酸飲料のシュワシュワの泡やドライアイスの原料としても、身近に感じることができます。また以下のような、理科の学習内容でもおなじみの物質です。
空気中に0.04%含まれており、その温室効果ガスとしての働きで、地球の大気は適温に保たれてきました。
しかし近代になっての産業活動で化石燃料の使用が莫大に増え、大気中のCO2濃度が急激に上がったことで地球温暖化が引き起こされたと考えられています。
これを受け、化石燃料の利用を抑えるだけでなく、カーボンニュートラルの考え方を取り入れ、CO2の排出や循環などの制御を重要視するようになりました。現在、これらを実現するための技術開発、そしてGXのような社会構造の見直しが急務とされています。
なお、物質の温暖化能力を示す「地球温暖化係数(GWP)」という指標では、CO2を基準の「1」として表しています。
充電ができる「二次電池」の一種で、リチウムイオン電池と同じく「酸化還元反応」を利用した仕組みになっています。
温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)排出削減対策として、近年「電気自動車(EV)」「ハイブリッド車(HEV)」などの利用が進められてきています。EV・HEV共に重要視されるのが、動かすエネルギーである電気を溜める「バッテリー」の性能向上です。「大量の電気を速く安全に貯める」「長時間長距離を安定して使える」「劣化しづらい構造で安く作る」ということを極めることで、ガソリン車と肩を並べられる性能になるためです。
その性能を買われ世界初の量産ハイブリッド車に採用されたのは、自動車に積んでも安全性が高く、繰り返しの充放電に強い「ニッケル水素電池(Ni-MH)」でした。
エンジンの性能を測る指標として「熱効率」があります。その中でも、以下の2つが重要となります。
エンジンシリンダ内での、ピストンの動きにより変動する圧力と容積の積分(図示仕事)を基にした、エンジン内部での燃焼効率
クランクシャフトの回転しようとする力(トルク)と回転数、燃料使用量から求める、エンジン機構全体での効率
カーボンニュートラルを見据えて、現在ガソリンにエタノールなどを添加したドロップイン燃料や、アンモニアや水素などのカーボンフリー燃料の利用促進が検討されています。しかし、既存設備を転換して利用するためには、効率や安全性を考慮して、慎重に検討を行う必要があります。図示熱効率は、「エンジン内での燃料の燃え方」に特化した指標ですので、導き出される数値から、エンジンと燃料との相性を捉えることができます。
P(Pressure:圧力)とV(Volume:体積)の変化を記録していくと、「P-V線図」という囲まれた図形が表されます。その図形の面積を求めることで、エンジン内部の仕事量が計算できます。ここで求められた仕事量と、燃料からの熱エネルギーを基に、図示熱効率は導き出されます。
なお正味熱効率は、設計構造や部品摩擦など、エンジン全体の性能を見る指標となります。
乾電池などの一般的な電池は「金属素材の負極が電解質で溶けてイオンと電子に分かれる」という仕組みを利用していますが、燃料電池は「『燃料』と『酸化剤』それぞれが、触媒により起こす酸化還元反応」を利用して、電気を作っています。
燃料電池内部の化学反応を、身近で使われることも多い「固体高分子形燃料電池(PEFC)」で説明します。
水の電気分解は中学校の理科で習いますが、言葉通り「水(H2O)に電気のエネルギーを与えて、水素(H2)と酸素(O2)に分解する」というもので、化学反応式は以下の通りです。
一方、PEFCは「水素(H)(燃料)」と「酸素(O)(酸化剤)」から電気を発生させるという、とても簡単に言ってしまうと「水の電気分解」の逆にあたります。
水の電気分解
燃料電池内の化学反応
燃料電池に入ったH2はアノード触媒で酸化反応が起き、プロトン(H+)と電子(e-)に分かれます。e-の流れが「燃料電池としての電気の流れ」です。一方H+は電解質を通ってもう一つの触媒であるカソード触媒へ流れ、そこで電気の役割をしてきたe-と、空気中のO2と合わさって還元反応が起きH2Oができます。これが基本の仕組みとなります。
燃料電池内のカソード側で起きるこの反応は「酸素還元反応(ORR:Oxygen Reduction Reaction)」と言われ、燃料電池の発電効率や触媒性能を調べるための指標となります。
アイオノマーを電解質に使っているPEFCは軽量で高性能ということで、自動車では「燃料電池自動車(FCV)」として、また家庭用には「エネファーム」として一般に普及しています。但し、触媒に高価なプラチナ(Pt)が現在多く使われているため、どうしても高額になります。広く普及させるためには触媒の改良が必要と、カーボンアロイ触媒などの研究開発が進められています。
アノード触媒に反応させるH2は、事前に都市ガス(メタン(CH4))などから取り出したものを使うことが多いですが、メタノール(CH3OH)を直接触媒に反応させるという方法もあります。この方法は「直接メタノール形燃料電池(DMFC)」と呼ばれます。長時間発電が可能で、携帯機器やポータブル電源などの小型機器へ導入されています。
また、「固形酸化物形燃料電池(SOFC)」は固体電解質を用いており、700~1000℃という高温で稼働します。単体としての発電効率がとても良いだけでなく、高温の排気ガスを利用したタービン発電と組み合わせると、理論上、全体としてのエネルギー効率が90%以上にもなります。この仕組みはコジェネレーションシステムやハイブリッド発電として実用化が進められていて、産業用の大型発電機などにも展開されています。
燃料電池は「エネルギーの高効率利用システム」として実用化が進んでおり、また二酸化炭素(CO2)を発生させず、燃料も「グリーン水素」にすることにより、カーボンニュートラル達成に有効な技術として注目されています。
生物資源(bio)と量(mass)を合わせた言葉で、「再生可能で、今生きている生物から得られる有機物」「枯渇しない、生物からできた有機物。但し化石燃料を除いたもの」です。
特に植物から得られる有機物(構造に炭素(C)を持っている化合物)は光合成によって作られるものなので、太陽光と水、二酸化炭素(CO2)、そして生きた植物がある限り、繰り返し作られ使える資源(再生可能)と考えられています。
「化石燃料」も「昔の動植物の死骸が、長い時間をかけて変化したもの」と考えられており、すると「生物由来の有機物」となりますが、こちらは燃やして発生したCO2が自然に化石燃料に戻ることはない、つまり「再生可能」ではないので、「バイオマス」ではありません。
キノコの農業栽培で現在主流になっているのが「菌床栽培」です。キノコが育ちやすい土壌を「菌床」として人工的に作り、室内で管理しての栽培を行うため、一年中、量も価格も安定して生産することができます。菌床は収穫量が減ってきたところで廃棄されますが、それが「廃菌床」です。
廃菌床は多く産業廃棄物として処理されてきていますが、木質(おがくずやトウモロコシの芯など)と植物性の栄養源(米や麦の糠など)の混合物なので、バイオマス材料としての価値を見直されてきています。
化学工学の世界では、パイロットスケールというと「試作段階」という意味があります。パイロット(pilot)が「試験的な」、スケール(scale)が「規模」という意味です。
例えば「ある物質を実験室のビーカーで作れる方法を見つけたけれども、その方法で直ぐに工場での大量生産レベルで作って売る」ということはできるでしょうか?
長時間、そして大量生産としての設備を稼働させたい場合、一要素としてですが温度や圧力、反応時間などの制御が必要になってきます。そして「実際にそれらを制御できるものなのか」「できるならどういう方法があるのか」「その方法を実現させるための設備設計はどうするか」「設計した仕様で動くのか」「その仕様は安全なのか」「危険な副産物は発生しないか」…などの「技術的な妥当性」の検討をすることが、製造する設備の完成品を作る前にとても大事になってきます。
更に、企業での工場生産とは「完成した製品の販売」が目的です。どんなに立派な設備ができても「コストが高すぎて、作っても売れない製品」しか作れないのでは、意味がないのです。実用化のためには、材料やエネルギーの使用量を測定した上での「経済的な妥当性」も図らなければなりません。
以上のような検討を、お互いの反応や条件を考慮した上で、慎重に行わなければなりません。そのために、
へと、段階的にで設備について調整する必要があるのです。
生産現場での実用に近づけるための検証評価にパイロットスケールは必要不可欠であり、「理学的な化学の現象」を「産業に応用する」という「化学工学」という学問が力を発揮する場です。
サトウキビから砂糖の原料になるショ糖を絞った後の繊維を「バガス」と呼び、元のサトウキビの25%ほどの量になります。その成分は「セルロース」「ヘミセルロース」「リグニン」で、現在は主に紙や家畜飼料の原料として使われています。
カーボンニュートラルの点でも注目されていて、バガスを原料とした紙は「バガス容器」として、フードデリバリーの使い捨て容器などで、近年活用されています。
バーク(bark)とは英語で「樹皮・木の皮」のことです。樹皮は昔から身近なものの材料として用いられてきており、ワイン瓶の栓に用いるコルクや、香辛料として用いられるシナモンは、樹皮そのものです。また神社屋根の檜皮葺、和紙、アイヌ民族が作る織物「アットゥシ」も、樹皮を原料として用いています。
木材を製材加工するときに大量に排出されているバークも、長年産業廃棄物として処理されていましたが、これをバイオマス資源として利用しようという動きが広がっています。バイオマス発電用の燃料の他、醗酵して堆肥化したものを土壌改良材に、また化学工業の中で炭素(C)を得る素材としてなど、カーボンニュートラルへの貢献につながる活用法が研究されています。
「拠点」の意味で、現在多く使われています。「ハブ空港」というと「海外旅行での飛行機の乗り換え空港」というイメージで思い浮かびますが、これはさまざまな航空路線が乗り入れていて、そこを基にして乗り継ぎがしやすいという「拠点」であるからです。
元々「ハブ(Hub)」とは、例えば自転車タイヤだと「スポークを車輪の中心でまとめているところ」を指す言葉でした。「多方面に放射状に伸びているものを中心でまとめる」という意味より、多方面で使われるようになったと思われます。
「ハロクロミズム(halochromism)」とは、pH(酸性・アルカリ性)の変化による化学的な刺激により、物質の色が変化する現象を指します。pHとは「プロトン(H+)の濃さ」のことで、物質によっては、その影響の化学反応で色の変化が可逆的に起きる特性があります。
誰もが体験しているのは、理科実験での「酸性で赤、アルカリ性で青になるリトマス試験紙」「アルカリ性でピンクになるフェノールフタレイン」でしょう。また食品でも、「紫キャベツ」「ブルーベリー」「ハイビスカスティー」などはpHの変化で色が変わりますが、これはアントシアニンという天然色素がハロクロミズムの性質を持っているためです。
バンドパスフィルタ(Band-pass Filter)は、特定の波長の光だけを通して、それ以外は通さない役割をするフィルタです。
イメージインテンシファイア(Image Intensifier)は、入ってきた光の明るさを、何千倍以上にも増やす装置です。
この2つの機器を組み合わせることによって、特定の波長の光だけを選び取り、強めて測定することができます。
例えばOHラジカルを測定したい場合、まず紫外光を当てることでOHラジカル自体のエネルギーを高くします(専門用語で「励起」)。その後エネルギーが自然と放出されますが、その時にOHラジカルが光を放ちます(専門用語で「蛍光」)。その光の波長だけをバンドパスフィルタで選び取り、イメージインテンシファイアで強めることで、カメラなどの光学系機器で記録できるようになります。
キャビティ(cavity)とは「くぼみ」という意味がありますので、ピストンキャビティとは「ピストン上部にあるくぼみ」のことです。この形状は、主に直噴式のエンジンに採用されています。
直噴式エンジンでは、シリンダー内で圧縮された高温高圧の空気と、微粒化して直接シリンダー内に噴霧された燃料とを、短時間で均一に混ぜる必要があります。ピストンキャビティは精密に設計された形状をしていますが、それはシリンダー内の空気と燃料が効率よく混ざる流れをつくるためです。高い混合性は燃焼効率、さらには熱効率の高さにつながり、燃費性能の高さや環境への負荷低減へとつなげることができます。
直訳すると「熱をくみ上げるもの」となりますが、「空気などからくみ上げた熱を移動させ、熱エネルギーを得る」という機器のことで、その熱をくみ上げて運ぶために、流体である「冷媒」を使うところが特徴です。身の回りで普段使っているエアコンは、この仕組みをつかっている代表例です。
ヒートポンプの仕組みを知るのに、大事な物理の原理が2つあります。
冷媒は、自分より温度が高い空気から熱を吸収し、蒸発します。移動する途中で圧縮され、さらに高温高圧になった冷媒は、今度は自分より温度が低い場所に出ると、熱を放出して液体に戻ります。液体になった冷媒の圧を下げると膨張し、温度が下がりますので、また空気から熱を吸収できる…というサイクルが、ヒートポンプの仕組みです。エアコンで考えると、「熱を得るのが外、放出する場所が室内」なのが「暖房」、「得るのが室内、放出が外」が「冷房」となるわけです。エアコンの他、放出した熱を使って水を温めるシステムは「エコキュート」として一般利用されています。
ヒートポンプの仕組みの中で電力を使うのは、冷媒の循環と加圧減圧の部分だけです。電気エネルギーを直接、温度を変化させるエネルギーに使っていないというところが省エネであり、脱炭素化につながると評価されています。
但し、一般的に冷媒は「熱を吸収しやすい物質」ですので、無秩序に放出してしまうと逆に温暖化を進めてしまうことになります。冷媒の一番の代表例はフロンですが、その温暖化係数は二酸化炭素(CO2)より数千から数万倍と桁違いに高いので、管理には細心の注意が必要です。
「実際に行える見込みがあるかどうか」という意味のビジネス用語で、日本語では「実現可能性」「実行可能性」と訳されます。
新規の企画や事業を立ち上げる時、「技術や人的資源、法律等を考えて、実際にできるかどうか」「開発コストや市場を考慮して、採算を得られるか」についての事前検討・検証が行われます。この「フィージビリティスタディ」を念入りに行い、内容のブラッシュアップをしていくことが、その後の成功実現に大きくかかわると言われています。
GXは「技術性」「採算性」の両方を合わせての向上を目指す取り組みです。私たち群馬大学が提唱する「G-C2REATE」が、より実社会に合ったものであるよう、フィージビリティ評価を重ねることは重要と考えています。
フィッシャー・トロプシュ合成(FT合成)は、一酸化炭素(CO)と水素(H2)から液体炭化水素燃料を合成する方法です。
既存の燃料は、ほぼ石油を精製して作られていますが、FT合成からは石炭・天然ガス・バイオマスと、多様な原料から液体燃料を取り出すことができるという利点があります。1920年代のドイツで開発され、元々は石油由来の液体燃料が入手できないことによる代替燃料を得ることを目的にしていました。
現在ではバイオマス利用など、資源保護や環境を考えたカーボンニュートラル社会を実現するための手立てとして、活用に期待されています。
様々な炭素鎖の物質が同時に作られ、鎖の長さによってCH4(メタン) / 短鎖(ガス) / 中鎖(ナフサ) / 長鎖(軽油・ワックス)と、石油由来燃料に近い合成燃料として取り出せます。
特定の一種類だけを選んで作ることはできませんが、「触媒(鉄FeやコバルトCo)」「温度」「原料となるH2とCOの比率」「圧力」などを調整することにより、生成割合を制御することができます。
もともと樹脂とは「主に植物から取れたねばねばした脂(やに)」のことですが、同じような性質のものを、石油などを原料として合成したのがプラスチック(合成樹脂)です。
簡単に形を作ることができ、電気を通さず腐食しづらい、さらに多くの種類が低価格で作れるということで、私たちの生活には欠かせないものになっています。
以下のように、使用用途に合わせて、たくさんの種類が開発されています。
【熱可塑性プラスチック】熱を加えることで柔らかく或いは液状になり、冷えると固まります
【汎用プラスチック】加工がしやすい上、比較的安価です。身の回りの多くの製品に使われています。
【生分解性プラスチック】微生物の働きで分解されます。
【エンジニアリングプラスチック】特定の性能が強化されています。工業用に多く用いられます。
【スーパーエンジニアリングプラスチック】耐熱性・耐薬品性・強度などが特に高く、過酷な状況でも使いづづけられます。
【熱硬化性プラスチック】一度固まったら硬いままであり、再び熱を加えても液状にはなりません
プラスチックの「腐食しづらい」特性は非常に大きな利点ですが、「自然に戻りづらい」ということでもあり、ごみの問題につながります。特に海に流れ出して微細化されたものは「マイクロプラスチック」と呼ばれ近年、生物の体内に取り込まれる可能性について世界中で問題視されつつあります。解決策の一つとして、微生物により分解される(生分解性)プラスチックなどの開発もありますが、主な原料となる石油が有限であることも考えて、回収・再利用できるような仕組みづくりが更に必要になってくると思われます。
また、カーボンニュートラルを進める中で、バイオマスを原料とした「バイオマスプラスチック」の開発も進んでいますが、こちらは「必ず生分解性プラスチックではない」ということも、注意が必要です。
プラチナ(Pt)は「世の中にある量が少ないので、非常に高価」な、いわゆるレアメタルです。「錆びずにアレルギーも起こしづらい」という性質から、アクセサリーに多く用いられることで一般には知られていますが、化学の世界では「安定して優れた触媒」として用いられることが多い金属です。
触媒として身近にあるのは「車の排気ガス浄化装置」「燃料電池」ですが、これらの利用場面ではPtが被毒しやすい一酸化炭素(CO)も発生しやすいということもあり、他の金属と合わせた合金にすることで対策がされています。
車の排気ガスの中のCO、HC(炭化水素)、NOx(窒素酸化物)を除去します。
Ruの働きでCOからの被毒耐性が高く、メタノール酸化反応(MOR)があることから、直接メタノール燃料電池(DMFC)で多く使われます。アノード触媒向き。
高温や酸に強く、またCOによる被毒もある程度防ぎます。センサーや化学反応用の触媒に使われますが、RhもPt以上に高価です。
酸素還元反応(ORR)で高い性能が出ます。カソード触媒向き。車両搭載の燃料電池に用いられています。
※「 /C 」とは、炭素粒子(通常はカーボンブラック)上にPt合金の粒子が分散されていることを表し、炭素(C)が触媒の性能を高めます。
フランは4つの炭素(C)と1つの酸素(O)の化合物で、五角形になっている構造が特徴です。
フランに官能基がついた「フラン誘導体」の代表例としては、以下のようなものがあります。
官能基はホルミル基(-CHO)とヒドロキシメチル基(−CH2OH)
フルクトース(果糖)などが含まれるバイオマスより取り出すことができます。
官能基はカルボン酸基(–COOH)
HMFを酸化させて生成され、このFDCAとエチレングリコールを縮合重合させることで、バイオマスプラスチックであるポリエチレンフラノエート(PEF)が合成されます。
二つのフラン環を含む化合物は「ビフラン化合物」と呼ばれます。「ビ」には「2つ」という意味があります(上図は2,2'-ビフラン)。
ちなみに、高校化学で登場する六角形は「ベンゼン」ですが、フラン類はこれと同じ「芳香族化合物」の仲間です。
芳香環に炭素鎖を結合させて、誘導体とする化学反応です。
芳香環はかなり安定した物質ですが、「電子を受け取りやすい物質(求電子剤)A」があると反応を起こします。もともと芳香環自体は電子(π電子)が多い物質ですので、Aが存在すると、芳香環は「相手に電子を与えやすい物質(求核剤)」として振る舞います。その結果、A由来の置換基が芳香環に結合します。
置換基がついて誘導体となった芳香環は、その後の重合などで扱いやすくなるため、目的に沿ったポリマー(プラスチック)を作成するための下ごしらえとして利用されます。
芳香環にはベンゼン(六角形)やフラン(五角形)がありますが、特にフランは電子を多く持っているため、フリーデル・クラフツ反応を起こしやすい物質です。ただし反応しやすいことにより、「制御できない重合を起こす」「複数の置換基が結合しすぎる」などの不具合の可能性も高くあります。
科学実験の場合の「プロトコル」とは、「正しいデータを得るために、実験を行うときに守ってほしいルール」のことを指します。
学校で、「どうやったら、植物はよく育つか」という理科の実験をしたことがあると思います。
この時、「太陽の光をよくあてた場合と、影をつくってあてなかった場合」や「水をよく与えた場合と、与えなかった場合」など、いろいろと条件を変えて試したことと思います。ただ、例えば太陽の光についての実験なら、「日光をあてたか、陰にしたか」を変えただけで、「育てる植物」「実験する日数」「与える水や肥料の量」「育てた場所」などの条件は同じになっていたはずです。
これが「『夏に校庭のひまわりによく光をあてた場合』と『春に家の植木鉢のチューリップを日陰にした場合』では条件がバラバラで、何を比較しているのかわからない実験になってしまいます。
このような「対照実験」で「正しく比べる実験」をするためには、「変えるのは比べたい要素をひとつだけで、他の要素は同じにしなくてはならない」というルールがあります。他の実験でも、「室温20℃」などの環境、「3回試験の平均」などの回数やデータ処理方法、また装置の組み方や実験開始までの段取りなどをルール化して統一します。そうしないと、測定のたびに結果がずれ、標準化されたデータが取れません。そのルールが「プロトコル」となります。
大学や企業の科学実験で得られる結果は自己満足ではなく、最終的に世の中に公表されて活用されるためにあります。標準化されたプロトコルを守った上での実験結果こそ、信頼を持って世の中に受け入れられるのです。
英語で陽子(proton)のことですが、化学では「水素イオン(H+)」のことも指します。これは何故でしょうか。
水素原子(H)は「陽子1個、電子1個」という構造になっています。これがイオン化するとき、Hから電子(e-)が飛び出すことになるのですが、右図で見る通り、e-が取れたHは陽子1個だけが残った形です。つまり「H+は陽子一つだけ」ということから「H+はプロトンそのもの」になりますので、H+のことを「プロトン」と表現する場合があります。
但し、同じ陽子一つでも「水素に由来している」という意味が必要な場合もあります。例えば、水溶液中でH+は、水と反応してH3O+(オキソニウムイオン)という形になっています。この場合は「水素由来のイオン」という意味を強く持たせたいため、「プロトン」ではなく「H+」という表記が選ばれます。
エンジンにおける「ポート」とは、燃料や空気、あるいは排気の通路となる空間です。燃焼室への入口となる「吸気ポート」と、出口になる「排気ポート」の二種類があります。
どのエンジンも「燃料を空気中の酸素と反応させて燃焼させ、そこから発生したエネルギーでピストンを動かす」という機構は共通しています。ポートを説明する上で、重要になるのは「エンジンへの燃料の供給方法」で、代表的なものに「ポート噴射式」「直噴式」があります。
ポート噴射式とは、吸気ポート内で混合された燃料と空気を、吸気弁が開いたときにエンジンの燃焼室へ送り込む方法です。この時、吸気ポート内に燃料が付着することが考えられます。付着したものもエンジンの熱により気化して多くが燃焼室へ送られますが、冷始動時など温度が低い場合は付着したままとなり、始動性の低下や、未燃燃料による排気ガスの悪化が生じます。
この問題に対しては、吸気ポート壁面の材質や形状の改良が、対策として有効です。
なお直噴式では、燃料は直接燃焼室へ噴射されるため、吸気ポートでは基本的に空気のみが流れます。また排気ポートは、いずれの噴射方式でも、燃焼後の排気ガスの通路となります。
フルフラールやヒドロキシメチルフルフラール(HMF)から合成されるフランジカルボン酸(FDCA)を基にして作られるプラスチック。フルフラールやHMFはトウモロコシの芯やバガスを原料として作られるので、「100%バイオマスを原料としたプラスチック」といえます。
現在、「ペットボトル」の原料として主流となっているのはポリエチレンテレフタレート(PET:Polyethyleneterephthalate)です。「ペットボトル」の「ペット(PET)」も、ここから由来しています。
PETは「透明性があり、軽くて加工しやすく、食品に対して安全性が高い」、そして「リサイクルしやすい」という利点があります。再加工によって他の製品に転化しやすいこともあり、ペットボトルのリサイクルが循環化社会への意識づけの基になった部分は大きいと思われます。
ただし、PETは原料が石油であり、長い目で見れば環境への影響は避けられません。
PEFの場合、原料は完全にバイオマスです。PETに似ており、それ以上に容器として優れている特性もあるため、更に発展して使える可能性があります。
なお「バイオPET」というものもありますが、これは「PETを作る材料の一部に、バイオマス由来のものを使っている」ということなので、PEFとは異なります。
プラスチックの一種で、化学式では(C2H3Cl)nとなります。
「ポリ」とは「多くの」という意味がありますので、名前より「塩化ビニル(C2H3Cl)という塊がたくさんある」と読み取れます。また化学式からは、「(▲)n」は「▲がたくさん繰り返しでつながっている」という意味がありますので、「C2H3Clが、たくさん繰り返し、数珠つなぎになっている物質」ということがわかります。
火や化学物質に強く、加工がしやすく安いということで、私たちの身近でもパイプやビニール袋などの材料として使われています。
構造に塩素(Cl)を含んでいるので、燃やすとダイオキシンを多く発生させると一時期問題になりましたが、研究により「燃焼温度のコントロールを行うことで発生を抑制できる」ことも明らかになっています。また「リサイクルしづらい」という点も指摘されていましたが、近年は技術開発も進んできています。
なお同じに使ってしまいがちですが、厳密には「ビニール袋」は「PVC」、「ポリ袋」は「ポリエチレン(PE):(C2H4)n」と、原料が異なります。
「ミル」とは「粉に挽く」「細かく砕く」という意味がありますが、それをボールで行うのがボールミルです。
円筒形の入れ物に、細かくしたい材料と、金属製などの固いボールを一緒に入れて、くるくる回します。すると筒の中で転がったボールが材料にぶつかって、どんどん砕いて細かくしていきます。筒を回すことでボールも材料もまんべんなく動くので、結果として均一できめ細やかな粉ができます。
できる粉の大きさはマイクロメートル(1μm = 0.001 mm)からナノメートル(1nm = 0.001 µm = 0.000001 mm)と非常に小さく、化学材料や製薬の分野で用いられています。
ダムなどの大きな設備を使わず、身近な水の流れを利用した発電のことを指します。
発電量としては、「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法(新エネ法)」では、「出力1,000kW以下の小規模な水力発電」を「小水力発電」と定義しています。
例えば、農業用水路、道路脇の側溝、上流域の小さな川など外だけでなく、工場や浄水場などの設備、また一般家庭の排水路や下水路など、「水の流れ」があれば設置できる可能性があり、設置費用も規模も大きくありません。
また稼働時に二酸化炭素(CO2)を排出しないということも重要です。
水素(H2)やアンモニア(NH3)などは燃焼してもCO2を出さず、またバイオマスを原料としたBio-fuelなどはカーボンニュートラルが実現できるということで、それぞれ温暖化対策を考える上で重要な燃料です。しかし燃焼時の計算でCO2排出を減らせても、それらの燃料を製造する過程でCO2を排出していては、せっかくの取り組みも意味がなくなってしまうのです。
「利用時」だけでなく「製造時」でのCO2排出削減を合わせて考えた「グリーンエネルギー」が求められている今、水力発電のような再生可能エネルギーを利用した、たとえ小規模でも環境に優しい発電の力が必要とされています。
メタネーションとは二酸化炭素(CO2)や一酸化炭素(CO)、それに水素(H2)から、メタン(CH4)を合成する技術のことです。化学反応式は、以下の通りとなります。
二酸化炭素:CO2 + 4H2 → CH4 + 2H2O
一酸化炭素:CO + 3H2 → CH4 + H2O
ここからはCO2の反応について取り上げていきます。
化石燃料である天然ガスは、成分の多くはCH4であり、都市ガスの原料として使われています。都市ガスを使うとCH4が燃焼して、CO2が発生します。
CH4 + 2O2 → CO2 + 2H2O
ここで発生したCO2を再びCH4に戻す技術が「メタネーション」で、高温の環境にしてニッケル触媒を利用します(サバティエ反応)。
メタネーションを利用すれば、都市ガス燃焼で発生したCO2をまたCH4に戻し、それを都市ガスなどに置き換えて利用することができるという「カーボンニュートラル」が実現します。「置き換え」が可能なので、設備などを変更する必要がなく、経済的でもあります。
更に、合成に使うH2もグリーン水素、つまり「再生可能エネルギーを利用して作った水素」にすれば、もっと温暖化防止を進めることになります。H2は「水の電気分解(2H2O → 2H2 + O2)」で作れますので、その電気を「再生可能エネルギー」由来のものにすることで可能です。
またメタネーションは温暖化防止だけでなく、宇宙生活を支える技術としても注目されています。活動に使える資源が限られている宇宙空間では、地球での生活以上に資源の循環を意識しなければ生きていけません。水や燃料などの資源を循環により得られる技術の発展は、宇宙開発を支える柱となります。
1個の炭素(C)に、4個の水素(H)が結合してできた炭化水素です。常温では気体で燃焼しやすく、天然ガスの主成分として知られています。
メタン菌を使った発酵でバイオマスより取り出す(メタン発酵)、また二酸化炭素(CO2)とグリーン水素(H2)から合成できるなど(メタネーション)、天然ガスを原料とした都市ガスの代替燃料になり得るということで、カーボンニュートラルを考える上で重要な物質として注目されています。
しかしCH4自体も温室効果ガスであり、しかもその温室効果はCO2よりもはるかに大きいと考えられているので、管理には注意が必要です。
また、「農畜産業」での排出が多いことでも知られます。牛や羊のげっぷにCH4が多く含まれていることが一時期話題になりましたが、他の家畜の糞尿にも多くのCH4が含まれています。また、水を張った状態の田の泥などで、嫌気性菌であるメタン菌が活性化することでCH4が発生します。但し、糞尿はバイオマスとしての資源価値が注目されており、メタン発酵による活用を進めようとしています。
「酸素が嫌いで、有機物からメタンを作る」という特性を持つメタン菌を利用し、バイオマス資源からメタン(CH4)を作り出すことです。「カーボンニュートラル」だけでなく、地域内でのエネルギーや資源の循環活用に貢献できると期待されています。
バイオマス資源の中には、汚泥や動物の糞尿など「臭い」が問題となるものも多くあります。しかしメタン発酵の場合、メタン菌は酸素が無いところこそ元気に活動しますので、完全に空気の入れ替えがない場所で発酵を行うことができ、それゆえに臭いが外に漏れることがありません。
CH4を取り出した後のバイオマスの残りも、アンモニア(NH3)と水分を取り除くことにより、安定した固形燃料へ変換させることができます。
名前にもある通り、鮮やかな青色をした化学物質です。化学式はC16H18N3SCl。
観賞魚の治療に使われる抗菌剤として市販されていますが、過剰摂取することで中毒を起こします。
一目で状態がわかるので、水の浄化実験に用いる色素などにも選択されています。
モル(mol)とは、主に化学分野で使われる単位です。定義としては
1mol = 6.02×1023個
となり、「6.02×1023個」は「アボガドロ数」と言われます。アボガドロ数がとても大きい数なので、単位を置き換えて使われるようになりました。鉛筆の箱売りで「1ダース=12本」と呼ぶのと同じ感覚です。
molを使うと、「質量」「体積」といった原子や分子の物理量を、とても明快に表すことができます。具体的には
となります。
身近な物に置き換えて説明してみましょう。
部屋に同じ大きさのドローンが、1molずつ入っています。一つはプラスチック製、一つは鉄製です。この場合
実際の物質で考えると、例えば「1molのO2(酸素)」「1molのCO2(二酸化炭素)」と記載があった場合は、以下のように置き換えられます。
モル分率は、その名前が表している通り、混合物の中でとある物質が占める割合を「モル数」、つまり「含まれている原子あるいは分子の数」で表したもので、単位を持たない無次元数です。この考え方は、特に気体中の成分割合を示すのに優れています。
気体の混合気では、温度や圧力の変化により含まれる物質それぞれの体積が変化します。しかし気体の中に含まれている原子や分子の数(モル数)は、温度や圧力によって変化しません。
よって、同じ条件で比較する限りでは、体積比は原子や分子の個数比、つまりモル比と一致します。また、条件が変わっても、体積がモル数に比例することになります。
これより、モル分率を利用することで、その後の化学計算の簡略化が可能です。例えば、空気はほぼ理想気体と考えられ、窒素(N2)の体積は78%、酸素(O2)は21%とわかっています。よって、「体積比=モル比」と考えても大丈夫なので、「空気中に含まれる窒素のモル分率」は「0.78」と表せます。
誘導体とは有機化学で使われる言葉で、特に官能基(下の説明にある〇〇基)と呼ばれる有機化合物の一部が変化した、または置き換えられた物質のことを言います。
身近な「アルコールの体内での代謝」を例にして書いてみましょう。
アルコール飲料内のエタノール(C2H5OH)は、肝臓でアセトアルデヒド(CH3CHO)に、更に酢酸(CH3COOH)に酸化され、最終的に二酸化炭素(CO2)と水(H2O)に代謝分解されて、体外に出されます。アセトアルデヒドはとても毒性が強いので、毒性の弱い酢酸にまで変化させる仕組みが、私たちの体の中には整っています。
C2H5OHは肝臓で「アルコール脱水素酵素(ADH)」の働きによって酸化され、CH3CHOになります。この酸化する過程で、C2H5OHにある官能基である-CH2OH(ヒドロキシメチル基)が-CHO(ホルミル基)に変化します。つまり「C2H5OHの一部が化学的に変化してCH3CHOになった」ということで、「アセトアルデヒドは、エタノールの誘導体である」と言えます。
更に代謝が進むと、CH3CHOは「アルデヒド脱水素酵素(ALDH)」の働きで酸化され、CH3COOHになります。これもCH3CHOの官能基である-CHOが-COOH(カルボキシ基)に変化する反応なので、同様に「酢酸は、アセトアルデヒドの誘導体である」となります。
つまり段階を経てになりますが、「酢酸はエタノールの酸化による誘導体」とも言うことができるのです。
しかし、C2H5OHの代謝での最終形になるCO2やH2Oは、ここまでの3つの物質に共通している「CH3CH2-」という基本の構造(専門用語だと「炭素骨格」)が分解されてしまうため、持っていません。なので「二酸化炭素と水は、酢酸の誘導体ではない」となります。
のちにノーベル化学賞を受賞する吉野 彰博士が80年代に開発したリチウムイオン電池は、「安全で、二次電池の中で一番高性能」と評価され、その後の電気機器・通信・運輸の世界に大きな革命をもたらしました。特にモバイルやIT機器の発展は、「軽くて容量が大きく、自己放電が小さい」というリチウムイオン電池の特性あってのことです。
自動車関係でも、EV・HEV・プラグインハイブリッド車(PHEV)への搭載が増えてきています。
ニッケル水素電池と同じ「酸化還元反応」を利用した仕組みになっていますが、放電時のカソードには「リチウムと金属の酸化物」、アノードに「炭素」、電解質に「有機溶媒に溶かしたリチウム塩」が使われています。
もともと負極から出たがっているリチウムイオン(Li+)とe-は正極と負極を回路で繋ぐことで、それぞれ電解質と回路を通って正極にたどり着き、還元反応が起きて落ち着きます。これがリチウムイオン電池内部の動きです。
正極材料にはコバルト酸リチウム(LiCoO2)やリン酸鉄リチウム(LiFePO4)などがあり、使用用途により使い分けられています。
<リチウムイオン電池>放電時
しかし電解質として「液体」をつかっているために液漏れの危険性が常にあり、以下の要注意点があります。
近年は問題点の解決のため、
の開発が進められています。
リン酸鉄リチウム(LiFePO4:LFP)を正極に、炭素(C)を負極にした、リチウムイオン電池の一種です。
当初開発された「正極にリチウム化合物、負極に炭素」という基本形を保ちつつ、より高性能・大容量・安全な充電池開発のための、正極の「リチウム化合物」の研究は盛んに行われています。LFPもこうして開発された物質のひとつです。
LFPは、先に開発されたコバルト酸リチウム(LiCoO2)と比べ「安全性が高い」「劣化しづらく長寿命」「コストが安い」という利点があります。熱に強く丈夫であり、暴走を起こす心配も少ないことが安全性につながっていることもあり、電気自動車(EV)などの大型機器への利用が主に進められています。
一方「同じ大きさでも、蓄えられる電気量が少ない」という点もあり、小型の機器(スマートフォンやノートパソコン)には、LiCoO2の方が向いているといえます。
エンジンの冷始動とは「長時間動かさず外気と同じ温度に冷えた状態から、起動させること」を言います。
温度が低い状態でエンジンを始動させるのは難しいですが、それは「温度が低いと、燃料が燃えだしづらい」という問題点があるためです。理由としては「エンジン内で燃料に着火しづらくなる」「ガソリンの揮発性が下がる」「軽油の粘度が上がる」などの、低温下ならではの状況が挙げられます。
「寒い日の朝にすぐ動けるように」と、自動車のエンジンは改良を重ねてきました。1990年以前にしていた、ガソリン車始動時の「チョークを操作して(供給空気を減らして)、エンジンキーでセルを回す前にアクセルを数回踏み込む(供給ガソリンを増やす)」という操作を懐かしむ方もいらっしゃるのではないでしょうか。これは「ガソリンの比率を上げて揮発量を増やし、点火しやすくする」ということを狙った操作で、低温時には必須でした。しかし、一番効率よく燃える燃料と空気の割合(理論空燃比)と比べると、遥かに燃料の割合が多いことになります。それは燃費を落とすだけでなく、燃え残りのガソリンの成分が大気中に排出するなどの問題もありました。現在は燃料噴霧量も空気供給量も電子制御されるようになり、車の機構的にはこれらの問題は解決されつつあります。ディーゼルエンジンも同様に改良され、燃料や空気量の他、シリンダー内への加熱補助として使うグロープラグも電子制御されています。
一方、再び冷始動について注目が集まっているのは、カーボンニュートラルの手段として「ドロップイン燃料」が推進されてきたためです。既存の機構を変えることなく使えるドロップイン燃料ですが、混ぜる物質により揮発性や発熱量、気化潜熱等の物理的な値が変化します。既存のエンジンは単体としてのガソリンや軽油の物性値に最適として設定されているため、性質の違うものを燃料として使うことで、性能が落ちることもあります。そこが顕著にでるのが「冷始動」ですので、燃料へドロップインする物質の妥当性を測るために、研究が進められています。
冷蔵庫やエアコンなど、ヒートポンプのシステムの中で循環している流体です。「多くの熱を吸って蒸発しやすい」という「熱を運搬する効率の高さ」、また「毒性が少ない」という特性を持つ物質が選ばれます。
現在、冷媒として使われている多くは、「フロン(フルオロカーボン)」という、炭素(C)とフッ素(F)の化合物です。20世紀に入ってから「とても効率がよく安全」ということでクロロフルオロカーボン(CFC)が大量に生産・利用されましたが、「オゾン層破壊」「地球温暖化」の原因物質であることがわかり、対策改良が進められました。
CFC(クロロフルオロカーボン)
第一世代。特定フロン。
ODP:高
GWP:高
不燃・無毒
最初に開発されたフロンで、「燃えにくく毒性もなく、安定した物質」ということで、世界的に大きく利用が広がりました。しかし含んでいるClがオゾン層破壊に影響していると判明したため、1987年のモントリオール議定書により「特定フロン」として認定され、全面廃止が決定されました。
HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)
第二世代。代替フロン→特定フロン。
ODP:中
GWP:高
不燃・無毒
水素(H)の働きでODP値は抑えられていますが、こちらもClを含んでいますのでオゾン層破壊能力を持っています。CFCが特定フロンになったため暫定的に「代替フロン」として使われましたが、こちらもモントリオール議定書によって2020年に全面廃止され、「特定フロン」になりました。
HFC(ハイドロフルオロカーボン)
第三世代。代替フロン。
ODP:0
GWP:高
不燃・無毒
Clがなくオゾン層破壊を破壊しないことが確認されているため、代替フロンとして広く使われてきました。しかしGWPは高いままで、地球温暖化防止の点では大きな問題点を抱えていることから、2016年に行われたモントリオール議定書の改正(キガリ改正)により、2036年までの段階的な削減が決定しました。
HFO(ハイドロフルオロオレフィン)
第四世代。
ODP:0
GWP:低
可燃性・毒性あり
オゾン層を破壊せず、地球温暖化を起こしづらいということで、今までのフロンの問題点をクリアしています。これまでのフロンより「燃えやすい」「人体に影響する毒性がある場合がある」「効率が下がる」という難点もありますが、技術発展により実用化されつつあります。
フロンの問題が取り上げられるようになったことで、「アンモニア(NH3)」「二酸化炭素(CO2)」「プロパンガス(C3H8)」なども「天然冷媒」として見直されるようになりました。しかし「温室効果」「安全性」「効率」の点で、それぞれ課題点を持っています。
現時点では、「環境保護」「安全性」「高効率」のすべてを満たしている冷媒は見つかっていませんが、それぞれの冷媒の特徴を生かしたヒートポンプ機器の開発が進められています。