群馬県「再生可能エネルギー・脱炭素化研究開発等助成金事業」

群馬県のGXを加速する 地域資源活用新産業創出プラットフォーム整備 プロジェクト


TF2
Outcome 2

資源循環ハブにおける最終残渣のエネルギー転換

令和6年度 成果内容

武田グループ

【生物学的燃料転換】

ガソリンの代替燃料を微生物で合成するために必要な遺伝子の同定を行いました。

ガソリンの原料となる中鎖脂肪酸を生産する菌を同定

政府は生物を用いた有用物質の生産である「バイオものづくり」を推進しており、現在では有用な微生物を探索してくるというよりは、⼈間の手で有用物質を生産する生物を作り出していくという合成生物学が主流になっています。

現在、バイオプラスチックやバイオ燃料が特に注目されている一方で、ガソリンの生産はあまり研究されてないため、我々は新たなバイオ燃料の生産に有用な遺伝子の同定を⾏い、中鎖脂肪酸の合成のキーとなる遺伝子解析を⾏いました。

keyword:Bio-fuel / 中鎖脂肪酸 / ガソリン

渡邉・窪田・野田グループ

【アンモニア回収型固形燃料転換】

  • 畜産排せつ物等の湿潤含窒素有機性から、生物反応によって窒素を除去しながら性状を安定させた固形物を乾燥し、固形燃料化するプロセスを提案しました。
  • 廃液中に分離されたアンモニアを回収して水素転換してエネルギー回収するプロセスを提案し、その性能評価のための試験装置を製作しました。
  • プロセス計算によって、プロセス全体の性能評価を⾏いました。

アンモニア化成好適反応条件の明確化を目的として、模擬排せつ物を用いたアンモニア化成のラボ実験を⾏ったところ、メタン発酵が生じる程度の低有機物負荷条件でアンモニア転換率が向上することがわかり、濃縮汚泥に低負荷で処理対象を供給する方式が一つの選択肢となる可能性を明らかにできました。

アンモニアとリン酸マグネシウムとの反応を利用したアンモニア濃縮プロセスの原理実証試験装置

アンモニアとリン酸マグネシウムとの反応を利用したアンモニア濃縮プロセスの原理実証試験装置(左写真)を製作して測定したところ、アンモニアと脱水ニューベリイトの化学吸着を利用したアンモニア水からのアンモニア吸着量は、1 時間の反応で投入アンモニアの45%、生成したストルバイトの熱分解で回収されたアンモニアガスの回収率は40%でした。

これらの結果から、プロセス1 サイクルのアンモニア回収率は18%となりました。今後、回収条件を見直すしことで、目標であるアンモニア回収率50%の達成を目指します。

リン酸マグネシウムアンモニウム(MAP)からの2段階熱分解による高濃度アンモニアガス回収(特許申請中)

実験の結果と踏まえて、固形燃料製造プロセスの概念設計を⾏い、プロセスシミュレーションを⾏いました。シミュレーションの結果、原料中の化学エネルギーの50%以上を固形燃料として回収可能なプロセスが示されました。

固形燃料製造プロセス概念設計

keyword:アンモニア / メタン発酵 / ストルバイト

野田グループ

【環境熱(廃熱)利用省エネ乾燥】

  • 環境熱を利用して省エネルギーでの乾燥を⾏うプロセスの提案をしました。
  • 省エネ乾燥プロセスの原理実証装置の製作を行いました。

環境熱乾燥を模擬した低温低湿度環境での模擬湿潤廃棄物の乾燥挙動を調査しました。模擬廃棄物として、加水して含水量を60wt%に調整したコンポストを用いました。

模擬試料をカラムに充填し、窒素ガスを流通して高さの異なるポートから定期的にサンプリングを⾏い、その蒸発挙動を調べたところ、加水したコンポスト中の水分は容易に蒸発し、出口相対湿度はおおむね100%で乾燥が進⾏することが分かりました。

これにより、環境熱を利用して大気を乾燥させ、これによって乾燥を⾏う第1世代環境熱乾燥プロセスの概念設計を完了しました。原理実証機の設計を完了し、2025年度に整備する予定です。

尚、第2世代として「地中熱+ヒートポンプ」、第3世代としては「地中熱+ヒートポンプ(VRC)」を想定しています。

環境熱乾燥模擬実験装置図 模擬湿潤廃棄物の乾燥挙動結果
keyword:コンポスト / ヒートポンプ

野田グループ

【熱化学的燃料転換】

未利用資源の熱化学転換試験を⾏う、2t/d パイロットスケール熱分解ガス化プロセスを整備しました。

2トン/日の2塔循環流動層反応装置

水蒸気あるいはリサイクルした熱分解ガス中で有機性廃棄物を熱分解・ガス化する2トン/日の2塔循環流動層反応装置の製作と据え付けを完了し、プロセスを構成する加熱昇温システム、水蒸気供給システム、粒子循環システムの稼働を確認しました。また、生成ガス分析のための分析装置を設置しました。

熱分解路後段に設置するタール分離装置、ガス組成調整装置の設計を完了したので、これらの設備を次年度予算で導入します。

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RESULTS

令和6年度 成果報告

令和7年度 成果報告

令和8年度 成果報告

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