ガソリンに対してエタノールを50%程度混合しても、失火なく冷始動を可能とするECUを開発しました。
アンモニア燃料に対して同程度の水蒸気を混合しても、適切な水素添加により安定運転が可能であることを示しました。
灯油・バイオマス混合燃料の層流拡散火炎を対象に、ガスクロマトグラフを用いて燃焼ガス組成を分析しました。その結果、バイオマス燃料を混合すると灯油だけの場合と比較して火炎内のCO濃度が高くなることを明らかにしました。
試験燃料として灯油とFAME(脂肪酸メチルエステル)の混合燃料を用い、燃焼性評価のために、下に示す実験装置を用いて試験燃料の層流拡散火炎における各化学種の濃度分布、および温度分布を測定しました。
燃料として灯油+FAME(ラウリン酸メチル)の混合燃料を用い、混合燃料の燃焼を維持するため、火炎の周囲に250℃に予熱した空気を導入しました。
比較対象として灯油100%燃料の実験も行い、この場合にも同様に予熱空気を導入しました。火炎の高さはどちらも目視で60mmになるように燃料流量を調節しました。
上右図が「灯油+FAME95%混合燃料」と「灯油100%燃料」の、層流拡散火炎における、H2、CO、CO2およびO2の濃度分布と温度分布の測定結果になります。
火炎は軸対称であるとして、火炎中心軸から右側の右半分の領域で計測を行いました。
結果を見ると。「灯油+FAME(ラウリン酸メチル)95%混合燃料」の火炎において、火炎の上流側(高さの低い領域)でH2とCOの濃度が、「灯油100%」の火炎と比べて高くなっていることがわかります。また CO2濃度 も「灯油+FAME 混合燃料」の方が高くなっているというように、燃料の違いによる燃焼挙動の違いが明確に現れていることがわかりました。
このことから、本研究で採用した層流拡散火炎を用いた計測により、各種燃料の燃焼特性の違いを評価できることが示されました。
試験燃焼炉については、噴霧燃焼バーナの炉本体への設置や煙道の整備など、実施に向けた準備を進めました。
FT合成粗油(軽油)を対象に、燃料噴霧特性に及ぼす燃料物性、特に動粘度の影響を調査し、化石燃料由来の軽油へのドロップイン利用の可能性が示唆されました。
G3-Fuel(合成軽油)を既存インフラや設備を変更することなく、化石燃料(軽油)に少量添加して利用する「ドロップイン手法」を検討するためには、合成軽油と軽油の燃焼特性を比較する必要があります。そこで前年度に整備が完了した噴霧燃焼可視化装置を用い、装置の確認を行うため、噴霧燃焼の可視化実験を行いました。
実験装置は主に圧力容器、コモンレール式燃料噴射装置、撮像系から構成されます。
高温高圧場を容器内に形成するため、「ステンレス製のヒータエレメント9本からなるメインヒータとニクロム線」「フレキシブルヒータ」をそれぞれ設置しました。さらに、ヒータ下部から容器内部に圧縮された空気または窒素を導入し加圧しました。
容器側面には石英ガラス製の観察窓を設け、噴霧火炎の撮影は、噴射圧力Pinjを60 MPa、燃料の噴射期間tinjは2.5 ms、容器内の雰囲気温度Taを773±5 K、雰囲気密度ρaは13.0±0.3 kg/m3としました。
TF2から提供される燃料組成が未確定であり、合成燃料の物性値は軽油と異なることが想定されます。そのため噴霧燃焼試験の事前検討として、燃料噴霧特性に及ぼす燃料物性の影響を予め調査しました。
まず燃料物性のうち動粘度を最大で10倍まで変化させ、噴霧による空気の巻き込みを反映する指標である噴霧体積の時間変化を評価しました。本研究では、燃料の動粘度の変化を模擬するため、動粘度の異なるシリコンオイル(2 mm2/s, 10 mm2/s, 20 mm2/s)を用いて実験を行いました。
上図に示すように、燃料ノズルから噴射された噴霧を影写真法により撮影し、得られた影画像から噴霧体積を算出しました。上右図は燃料噴射圧力100MPaにおける噴霧体積の経時変化ですが、軽油相当の動粘度である 2 mm2/s の条件と、その10倍の動粘度を有する 20 mm2/s の条件における噴霧体積を比較すると、燃料噴霧がピストンキャビティ壁に衝突すると予想される噴射開始後 0.5 ms までの期間では、顕著な差は認められませんでした。
TF2から提供される合成燃料の動粘度が、軽油に対して10倍程度となる可能性は低いことを考慮すると、合成燃料(軽油)を化石燃料由来の軽油にドロップインした場合でも、以上の結果より動粘度の違いが噴霧体積に及ぼす影響は小さいと考えられます。