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TF3 Outcome 1

G3-resourcesのエンジン・燃焼利用(燃料最適利用技術)

荒木 幹也   ゴンザレス ファン   古畑 朋彦   座間 淑夫

研究内容
令和6年度 成果
令和7年度 成果

令和7年度 成果内容

荒木・ゴンザレスグループ

WP 3-1-1【エタノール混合ガソリンを用いたエンジンの冷始動時性調査】

ガソリンに対してエタノールを50%程度混合しても、失火なく冷始動を可能とするECUを開発しました。


エタノールガソリンより蒸気圧が低いため、エンジン冷始動性の悪化が懸念されます。

本研究室で開発した筒内実効燃料量を予測する極限簡単化モデルを適用し、エタノール混合ガソリンを用いた冷始動実験を実施した結果、E0(純ガソリン)からE70(エタノール70%)までは、当該モデルにより冷始動に問題は生じないことが確認されました。

一方、E85(エタノール85%)はポート壁面の液膜面積が過大となり、モデル適用範囲を超えることが明らかとなりました。このため、液膜面積に上限を設定することで、当該問題を回避しました。


WP 3-1-1【バイオマス由来のアンモニアガスを模擬したガスを燃料とする エンジンの運転特性調査】

アンモニア燃料に対して同程度の水蒸気を混合しても、適切な水素添加により安定運転が可能であることを示しました。

バイオマス由来のアンモニアガスを模擬したアンモニア/水素/水蒸気混合燃料を用いてエンジン直接燃焼発電システムを運転し、発電を行いました。

水蒸気モル分率が安定運転性、図示熱効率、排気濃度に及ぼす影響を調査した結果、適切に水素を添加することで、アンモニアと同程度のモル分率の水蒸気を混合しても安定運転が可能であることが示されました。

また図示熱効率やサイクル変動率は、アンモニア当量比や水蒸気モル分率にかかわらず、層流燃焼速度を用いることでプロットが1つの曲線上にまとまり、化学反応速度が現象を律することが明確に示されました。

古畑グループ

WP 3-1-2【G3-fuel混合燃料(灯油)を念頭とした 層流拡散火炎を用いた燃焼性評価】

灯油・バイオマス混合燃料の層流拡散火炎を対象に、ガスクロマトグラフを用いて燃焼ガス組成を分析しました。その結果、バイオマス燃料を混合すると灯油だけの場合と比較して火炎内のCO濃度が高くなることを明らかにしました。

試験燃料として灯油FAME(脂肪酸メチルエステル)の混合燃料を用い、燃焼性評価のために、下に示す実験装置を用いて試験燃料の層流拡散火炎における各化学種の濃度分布、および温度分布を測定しました。

燃料として灯油+FAME(ラウリン酸メチル)の混合燃料を用い、混合燃料の燃焼を維持するため、火炎の周囲に250℃に予熱した空気を導入しました。

比較対象として灯油100%燃料の実験も行い、この場合にも同様に予熱空気を導入しました。火炎の高さはどちらも目視で60mmになるように燃料流量を調節しました。

上右図が「灯油+FAME95%混合燃料」と「灯油100%燃料」の、層流拡散火炎における、H2COCO2およびO2の濃度分布と温度分布の測定結果になります。

火炎は軸対称であるとして、火炎中心軸から右側の右半分の領域で計測を行いました。

結果を見ると。「灯油+FAME(ラウリン酸メチル)95%混合燃料」の火炎において、火炎の上流側(高さの低い領域)でH2とCOの濃度が、「灯油100%」の火炎と比べて高くなっていることがわかります。また CO2濃度 も「灯油+FAME 混合燃料」の方が高くなっているというように、燃料の違いによる燃焼挙動の違いが明確に現れていることがわかりました。

このことから、本研究で採用した層流拡散火炎を用いた計測により、各種燃料の燃焼特性の違いを評価できることが示されました。

試験燃焼炉については、噴霧燃焼バーナの炉本体への設置や煙道の整備など、実施に向けた準備を進めました。

座間グループ

WP 3-1-3【G3-fuel(軽油)を想定した 模擬燃料による噴霧燃焼評価】

FT合成粗油(軽油)を対象に、燃料噴霧特性に及ぼす燃料物性、特に動粘度の影響を調査し、化石燃料由来の軽油へのドロップイン利用の可能性が示唆されました。

G3-Fuel(合成軽油)を既存インフラや設備を変更することなく、化石燃料軽油)に少量添加して利用する「ドロップイン手法」を検討するためには、合成軽油と軽油の燃焼特性を比較する必要があります。そこで前年度に整備が完了した噴霧燃焼可視化装置を用い、装置の確認を行うため、噴霧燃焼の可視化実験を行いました。


実験装置は主に圧力容器、コモンレール式燃料噴射装置、撮像系から構成されます。

高温高圧場を容器内に形成するため、「ステンレス製のヒータエレメント9本からなるメインヒータとニクロム線」「フレキシブルヒータ」をそれぞれ設置しました。さらに、ヒータ下部から容器内部に圧縮された空気または窒素を導入し加圧しました。

容器側面には石英ガラス製の観察窓を設け、噴霧火炎の撮影は、噴射圧力Pinjを60 MPa、燃料の噴射期間tinjは2.5 ms、容器内の雰囲気温度Taを773±5 K、雰囲気密度ρaは13.0±0.3 kg/m3としました。


TF2から提供される燃料組成が未確定であり、合成燃料の物性値は軽油と異なることが想定されます。そのため噴霧燃焼試験の事前検討として、燃料噴霧特性に及ぼす燃料物性の影響を予め調査しました。

まず燃料物性のうち動粘度を最大で10倍まで変化させ、噴霧による空気の巻き込みを反映する指標である噴霧体積の時間変化を評価しました。本研究では、燃料の動粘度の変化を模擬するため、動粘度の異なるシリコンオイル(2 mm2/s, 10 mm2/s, 20 mm2/s)を用いて実験を行いました。

上図に示すように、燃料ノズルから噴射された噴霧を影写真法により撮影し、得られた影画像から噴霧体積を算出しました。上右図は燃料噴射圧力100MPaにおける噴霧体積の経時変化ですが、軽油相当の動粘度である 2 mm2/s の条件と、その10倍の動粘度を有する 20 mm2/s の条件における噴霧体積を比較すると、燃料噴霧がピストンキャビティ壁に衝突すると予想される噴射開始後 0.5 ms までの期間では、顕著な差は認められませんでした。

TF2から提供される合成燃料の動粘度が、軽油に対して10倍程度となる可能性は低いことを考慮すると、合成燃料(軽油)を化石燃料由来の軽油にドロップインした場合でも、以上の結果より動粘度の違いが噴霧体積に及ぼす影響は小さいと考えられます。